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小澤貴子「化粧品のウソとホント」

マスク“あせも”急増、簡単な4つの予防法と応急処置…マスクはガーゼや綿素材を

文=小澤貴子/東京美容科学研究所
マスク“あせも”急増、簡単な4つの予防法と応急処置…マスクはガーゼや綿素材をの画像1
「gettyimages」より

マスクあせもが急増中、どんな症状?

 遅く始まった、今年の夏。まだまだ猛暑が続きますが、外出やお仕事などでマスクを1日中つけている方も多いと思います。そして実は今、日本中で「マスクあせも」といわれる現象が急増中なのです。

 発症する場所はさまざまですが、当研究所へのご相談内容として多いのは、鼻の下とあごです。症状は、かゆみや痛みがないことがほとんどで、子供に多いのも特徴です。

【マスクあせもの相談の特徴】

・鼻の下とあご、たまに、ほほ(ほほ骨のあたり)にできる

・子供に多い

・プツプツができる(色はあまりない)

・赤いポツポツができるけど、かゆみや痛みはない場合が多い

マスクであせもになる原因は?

 あせもの原因は、汗管の詰まりです。まず、「高温多湿の環境」で「たくさんの汗をかく」という条件が重なると、汗が空気や風にあたって徐々に蒸発していったり、お肌の表面の皮脂に自然と馴染んで溶けることができなくなります。

 すると汗は分散できずに、汗の通り道である汗管の出口近くに偏在(集まって存在)します。そして、徐々に含まれる塩分の濃度が高くなってしまい、ついには塩分が塩となったり、塩分によって皮膚表面にある皮脂の成分が固まってしまい、汗の出口をふさいでしまうのです。つまり、汗管の出口にフタをしてしまうということです。

 皮膚の内側では、それでも汗がつくられるので、汗管に汗が流れ込んできています。出口がふさがれてしまったので、汗は汗管の中にぎゅうぎゅうにたまります。そして、どこかでついには汗管の周りに漏れ出ていくのです。

 汗腺の出口はお肌の最表面にあるのですが、汗管は皮膚表面の角層内やその下、またはもっと深いところで詰まり、皮膚の内側で漏れ出てしまった状態になる。これが汗疹の原因です。

子供にマスクあせもが多発のワケ

 子供は、大人と同じように汗をかく機能が備わっているわけではありません。まだ発汗機能は未熟で、ひとつの汗腺から出てくる汗の量が少ないのが特徴です。水道管でも、大量の水が流れる太い管よりも、水があまり流れない細い管のほうが詰まりやすい。同じように、子供の汗腺は細くて詰まりやすいのです。本格的に大量の汗をかくようになるのは、汗腺が発達する思春期です。

 さらに、子供は肌を守る皮脂の分泌量がかなり少なく、弱肌が多いのも影響しています。バリア層である皮脂膜がほとんど形成されないために、ますます汗疹ができやすくなります。

マスクあせもの対処法は?

 あせもができる原因は、汗管の出口の詰まりなので、出口がふさがらないようにします。なるべくあせもになる前に、汗管が詰まらないように予防的なお手入れが大切です。もちろん、軽微なあせもなら、できてしまっていても、気を付けることは同じです。

(1)まずは洗顔

 なんといっても「洗顔」で汗を洗い流すことが大切です。あせも対策の基本です。お肌が弱肌状態でなければ、日中はこまめに水洗いして、朝晩は石けんで洗顔します。出先で洗顔が難しければ、水気をしっかり含んだおしぼりを持ち歩き、汗をかいたら、あごの下までしっかりとふき取る方法もあります。

(2)洗顔後は酸性成分の補充

 洗顔後は化粧水などで酸性成分を補充します。塩分濃度が高くなると、汗管出口を詰まらせる原因になるので、酸性成分で溶かして予防します。できてしまった汗管の詰まり改善にもおすすめです。

(3)部分仕上げは酸性のボディパウダー

 マスクあせもができやすいのは、あご。ここに汗がたまりやすく、通気性も悪い場所だからです。汗を吸収して湿度を低く保つために、ボディパウダーをつけます。ボディパウダーは、必ず酸性のものを選んでください。一般的なボディパウダーやベビーパウダーは、ほとんどがアルカリ性のタルクを主成分としています。これでは、皮膚表面がアルカリに偏り、弱肌になる原因になってしまう可能性も。また、粉は舞ってしまうと吸い込みの原因になるので、抑えるようにお肌にのせるのがおすすめです。

(4)マスクは天然素材

 高温多湿を避けるために、状況が許すときには通気性の良いガーゼや綿素材のマスクがおすすめです。あせも予防に効果テキメンです。もしどうしてもフィルター効果のある使い捨てマスクを使うのならば、お顔とマスクの間に一枚ガーゼや綿の布を入れるだけでも違うと思います。ただしガーゼや綿素材は濡れると通気性が悪くなり呼吸が苦しくなるので、汗で湿ったらこまめに取り替えるといいでしょう。

弱くなってしまったお肌にはバリア補強

 あせもができている状態は、お肌を守っている皮膚のバリア機能が弱まっている状態なので、弱肌の状態です。肌の弱さを感じたら、就寝前に皮膚の再生を促すビタミンAや保護力の高いミネラルオイルやワセリン配合のクリームを薄くつけると、バリア機能の回復に役立ちます。

 ポイントとしては、薄くつけること。指の腹にポンポンッと軽くとり、お肌全体に薄くしっかりのばします。

 また、お肌が弱い状態は、バリア機能の低下が原因です。回復までは当研究所がおすすめしている5段階法や、メイク落としに洗浄成分を使わずにコールドクリーム洗顔を行うことも、バリア機能の回復には有効です。

あせもが弱肌の原因に

 初期のあせもは、かゆみや痛みがないので、見過ごしてしまうこともあります。でも、あせもができている状態は、お肌を守っている皮膚のバリア機能が弱まっている状態。まさに弱肌の状態です。ですから、放置しておくと、あせもだけの問題ではなくなっていくのです。

 ひどくなると、湿疹になったり、そこから感染症になってしまうこともありますから、湿疹になったら皮膚科を受診することをおすすめします。

(文=小澤貴子/東京美容科学研究所)

小澤貴子/東京美容科学研究所

小澤貴子/東京美容科学研究所

工学博士(応用化学専攻)
1975年生まれ。上智大学理工学部化学科卒業後、応用化学修士課程に進学。修士課程修了後、大手化学会社の研究員を経て、上智大学理工学部化学科非常勤助手として研究に携わる。
その後、祖父の代から続く、東京美容科学研究所に入所、肌と美容の研究の道へ。現在、同研究所にて、化粧品の研究とともに、正しい美容科学の普及に努めている。理美容のプロおよび一般の人々に対して、肌の生理や化粧品についての知識の向上を目指すべく、教育普及活動にとくに力を入れ、全国で講習会や講演を行っている。

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