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なぜソニーはPS4からPS5発売まで7年もかかった?新Xboxは1万円安く発売で対抗

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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ソニープレイステーション5公式サイトより

 新型コロナウイルスで景気の低迷が続くなか、プレイステーションなどでソニーが健闘している。特に、巣ごもり需要の拡大は、同社のゲーム事業の成長を支えた。11月、同社は次世代ゲーム機である「プレイステーション(PS)5」を発売する。世界的な外出自粛ムードが続くなかでの新商品発売は、収益獲得につながる可能性がある。それは、新しい技術を積極的に用いて需要を生み出すというソニーの強さの復活を示唆する。

 ただ、足許のソニーの新商品の開発には、もっとスピード感があってよいかもしれない。ソニー復活の重要なファクターともいえるゲーム機についても、市場を取り巻く環境は大きく変化した。スマホの普及によってモバイルゲームが急速に世界に浸透したのは一つの例だろう。ライバルであるマイクロソフトや任天堂などとの競争を、今後、一段と厳しくなることが予想される。特に任天堂の場合、前回の機種である「Wii U」からスイッチまでの開発期間は約5年だった。ソニーも、迅速に社会の要請の変化に対応する必要は高まるはずだ。

 今後の展開を考えると、ロボット、自動車、都市空間など既存のモノとIT先端技術のさまざまな組み合わせが考えられる。また、米中の対立は先鋭化し、ソニーの事業展開に無視できない影響が及ぶケースも増えるだろう。変化のスピードがこれまで以上に加速化し、不確定要素が増大するなか、ソニーが積極的に、間断なく新しいモノを生み出し、需要を創出することを期待したい。それが本当の意味でのソニーの復活に欠かせない要素だ。

ソニー復活の息吹を感じさせるPS5

 コロナショックの影響が深刻ななかで、ソニーは新型ゲーム機であるPS5を発売する。それはソニーが、多くのヒット商品を連続的に発表して成長を実現した同社の強さ(ソニーらしさ)を取り戻しつつあることを示唆する。

 PS5の注目点は、価格を抑えてDX=デジタル・トランスフォーメーションへの対応を最大限図ったことにある。まず、PS5のデータの読み込み速度はPS4の100倍だ。画面の切り替えが従来よりもなめらかであり、ゲーム利用者はバーチャルな世界に没頭するかのようにしてゲームを楽しむことができる。

 また、PS5には2つの価格帯が設定された。ソニーがより重視しているのは、一般的に“廉価版”と報じられている希望小売価格が3万9,980円(399.99ドル)のモデル(デジタル・エディション)だろう。直近のゲーム市場の利用動向を確認すると、ディスク購入ではなくネット経由でゲームコンテンツを購入する割合が74%に達した。小売店のゲームソフトを扱う売り場面積が縮小されているのはそうした変化によるものだ。

 PS5の発売は、ソニーが世界経済の環境とテクノロジーや技術の急速な変化に対応し、成長を目指していることの裏返しだ。5年ほど前のソニーには、そこまでの体力がなかった。2015年3月期、ソニーの業績は低迷し無配当に陥った。その後、ソニーは構造改革を進めてCMOSセンサーの需要を取り込み、業績回復につなげた。その上で同社は獲得した資金をゲーム事業などの強化に再配分し、さらなる成長を目指すことができている。

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