「手際が良すぎる」…三菱マテリアル子会社、不可解な倒産劇 直前に全株式を譲渡の画像1
三菱マテリアルの本社が入居している丸の内二重橋ビル(「Wikipedia」より)

 三菱マテリアルの子会社だったダイヤメットの倒産劇は実に不可解だった。

 自動車部品製造のダイヤメット(新潟市)と関連会社のピーエムテクノ(同)は2020年12月21日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。東京商工リサーチによると負債総額はダイヤメットが577億円、ピーエムテクノが26億円。2社合計で603億円。令和最大の大型倒産となった。三菱マテリアルは12月4日、投資ファンド、エンデバー・ユナイテッド(東京・千代田区)にダイヤメットの全株式を譲渡している。そして、その17日後にダイヤメットは民事再生法を申請した。

「手際が良すぎる」(三菱グループ企業の首脳)。三菱マテリアルの完全子会社のまま倒産させるわけにはいかないので、ファンドに移し替えて“処理”したということなのか。三菱マテリアルはダイヤメットを投資ファンドに売却したのに伴い、2021年3月期決算に210億円の特別損失を計上する。この結果、連結最終損益は200億円の赤字(前期は728億円の赤字)に下方修正した。従来予想は100億円の赤字だった。

 ダイヤメットとはどういう企業なのか。2005年、三菱マテリアルから分離して発足し、自動車のワイパーに使う部品やエンジン部品などを製造してきた。ピーク時の2008年2月期(決算期変更前)には267億円の売り上げがあった。近年は、中国の景気低迷の影響でASEAN諸国で自動車部品の需要が低迷、20年3月期の売上高は200億円まで落ち込んだ。

 16年と18年に製品の品質データを改ざんして不適合品を出荷していた不正が発覚。品質保証の体制整備のための費用などがかさみ、資金繰りが悪化。自力再建は困難と判断した、としている。民事再生法の申請に伴い、全従業員1100人の約3割にあたる350人規模で希望退職を募集。長年、新潟の地元では、「三菱」の名を冠する名門企業として知られていたダイヤメットの経営破綻だ。取引先の企業に動揺が広がっている。

ファンドに551億円の債権を譲渡

 東京商工リサーチのレポートからは、三菱マテリアルが責任逃れに汲々としている様子がうかがえる。ダイヤメットは品質保証体制の強化を迫られ、親会社だった三菱マテリアルから資金面で支援を受けていたが赤字が続き、20年3月期末の債務超過額は177億円に膨らんでいた。三菱マテリアルは、完全子会社の巨額の債務超過について、きちんと情報を開示してきたのだろうか。

 20年9月、三菱マテリアルは投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドと、ダイヤメットの株式譲渡に関して基本合意した。同時に三菱マテリアルのダイヤメットに対する貸付金551億円も譲渡された。この551億円の弁済期日は329億円が20年12月28日、残りの222億円が同月31日だった。

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