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「3.11」から10年、壊滅的被害受けた気仙沼の今…地元商店の経営者が語る紆余曲折

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
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「3.11」から10年、壊滅的被害受けた気仙沼の今…地元商店の経営者が語る紆余曲折の画像1
2021年3月6日に開通予定の「気仙沼湾横断橋」(撮影・提供=かとうまさゆき写真事務所)

 2月13日、まもなく日が変わる23時8分頃、東北地方を中心に「最大震度6強の地震」が起きた。福島県、宮城県、山形県のほか、関東地方でもけが人が出た。その後、2011年3月11日に発生した「東日本大震災の余震」と発表され、当時をあらためて思い出した人も多いだろう。まもなく、その「3.11」から10年となる。

 筆者は震災の翌年、被災地で復旧の兆しが見えた2012年1月から東北や北関東の各地を訪れて取材を続けている。その内容は当欄を含めて記事にしてきた。

 10年がたち、被災地の企業経営者はどんな思いで日々の活動を続け、暮らしているのか。1月下旬、三陸海岸の宮城県気仙沼市を訪れた。当地の状況を踏まえて報告したい。

震災後は好機と逸機で、見通しが立ちにくい

「昨年の『Go Toトラベル』キャンペーン時期はお客さんも多かったけれど、今は少ないですね。首都圏などの緊急事態宣言による外出自粛の影響を受けています」

 海産物の製造・販売を行う、株式会社大菊(だいきく)副社長の吉田晶子氏は、こう語り、「仲間内では『あの盛況が戻らないかな』と話します」と苦笑いする。

 話を聞いたのは宮城県気仙沼市の「気仙沼 海の市」という商業施設内。ここに入居する「大菊 海の市店」だ。

「海の市」は、気仙沼湾に面した商業施設として震災後の2014年にリニューアルオープン。日本有数の漁港として知られる気仙沼の象徴「気仙沼市魚市場」の横に位置する。

 東日本大震災後の10年を、吉田氏はこう振り返る。

「商売の視点でいえば、震災後は取り巻く環境の『好機』と『逸機』が次々に起こり、なかなか見通しが立たないですね。そのなかで何ができるかを考え、取り組んでいます」(吉田氏)

 同社にとって好機と逸機とは、次のような出来事だという。

「好機」=高速道路の無料化。三陸道の開通。気仙沼大島大橋の開通。気仙沼横断橋(2021年3月6日開通予定)。「Go To トラベル」キャンペーン。海の市でのイベントを企画・出演。復興事業に来られた方々の移住や支援。NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』(2021年5月17日~放送予定)。

「逸機」=新型コロナウイルスによる外出自粛。コロナ禍の休業や営業時間短縮。相次ぐ地震。豪雨による水害。観光誘致が不十分。人口減少が加速化。復興事業の終了。

 あっという間に経営環境が変わり、以前と同じやり方では商売が続けられない時代だ。

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「気仙沼 海の市」の外観(2021年1月撮影)

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「ふりかけ」「うに」「わかめ」が人気商品

「海藻・乾物・珍味問屋」を掲げる大菊の看板商品が「炭火手焼ふりかけ」だ。最高級とはいえ、価格は1袋(28グラム)300円ほど。「気仙沼を思い出す懐かしい味」と称した人もいる。

「気仙沼で水揚げされた厳選した鯖(さば)と鰹(かつお)を使い、遠赤外線でクヌギやナラの炭火で丹念にこんがり焼き上げており、1工程に28時間かけた商品です。パリッとした食感のふりかけは、温かいごはんの蒸気で程よいしっとり感をまとい、口の中に運ぶと香ばしさと甘じょっぱさが広がります。

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