「永遠のライバル」ダイハツとスズキ、電撃的な提携…“EV軽自動車”共同開発の舞台裏の画像1
スズキ本社(「Wikipedia」より)

 トヨタ自動車ダイハツ工業、スズキが軽自動車を含む小型の電気自動車(EV)の共同開発を進める。世界的に環境規制が強まるなか、効率化を図り、競争力を高めるのが狙いだ。

 ダイハツとスズキは2020年度の軽の新車販売台数で首位と2位。2社で軽全体の60%以上のシェアを占める。業界トップの座をめぐり、しのぎを削ってきた永遠のライバルだが、EVではトヨタを“接着剤”にして握手をした。ダイハツはトヨタの子会社。スズキはトヨタと株式を持ち合う。3社は車両の一部を共通化するなどし、開発費用を抑える。電気で走行する技術に優れたトヨタに、軽の開発に強みがあるダイハツ、スズキが協力する。トップ2社の参入で軽EVが普及する可能性が出てきた。

「軽もすべて電動化」の衝撃

 政府は20年10月、菅義偉首相が所信表明で「2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)に向けた実行計画」を明らかにした。目玉は「遅くとも30年代半ばまでに乗用車の新車販売で電動車100%を実現する」との高い目標を盛り込んだことだ。

 ここでいう電動車のカテゴリーには、走行中に有害な排出物を出さないゼロエミッション車(EV、燃料電池車)のほか、ガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車(HV)が含まれる。

 二酸化炭素の排出量削減に向け、ガソリン車の販売を将来的に禁じ、電動化を進める動きは世界的な流れだ。すでに欧州などは脱ガソリン車に大きく舵を切っており、日本も追随した格好になった。しかし、当事者である自動車業界、なかでも軽自動車メーカーには動揺が広がった。世界標準の普通車(登録車)に比べて、日本独自の規格である軽自動車は電動化が遅れているからだ。EVどころか、標準的なHVすらいまだ導入されていない。

 スズキの新車も国内で約5割、世界ベースで2割弱がすでにHVになっているが、簡易式のHVだ。大型バッテリーと高出力の駆動モーターを搭載する本格HVは製造原価を考えると「売れる軽」には仕上げにくいのである。「軽もすべて電動化」という政府方針の下、スズキはどうやって生き残っていくのか。資本・業務提携しているトヨタとの関係強化しか道はなさそうだった。20年11月、新型「ソリオ」の発表会の席上、鈴木俊宏社長は「小型車メーカーとしてどのようなHVが適切かを考えている。トヨタのHVを使うこともあるだろうし、価格面からトヨタのパーツを使いながら、独自に開発するということもある」と語っていた。

 19年、トヨタに対する第三者割り当て増資でスズキが手持ちしていた自社株を売り渡し、960億円を調達したが、このうち200億円を自動運転などの研究開発に振り向けた。欧州市場の厳しい環境規制に対応するため20年11月、トヨタからOEM(相手先ブランドによる生産)供給された多目的スポーツ車「RAV4」をスズキブランドで売り出した。

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