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マネックスG、“コインチェック頼み”経営の危うさ…ビットコイン価格の乱高下で株価上下

文=編集部
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コインチェックのサイトより

 仮想通貨(暗号資産)の価格がジェットコースターさながらに乱高下を続けている。4月、仮想通貨のブームは頂点に達した。4月14日、米国の仮想通貨取引所大手コインベースが米ナスダックに上場。時価総額は一時、12兆2000億円に膨らみ、同日、ビットコインは史上最高価格となる700万円を突破した。だが、一瞬にしてビットコインバブルは弾けた。

 ビットコインバブルを牽引したと名指しされているのは、米電気自動車(EV)テスラ創業者、イーロン・マスク氏である。2月、ビットコインを15億ドル(約1600億円)分購入し、テスラ車の決済手段としてビットコインを受け入れる方針を表明した。これでビットコインバブルに火がついた。

 バブル崩壊の引き金を引いたのもマスク氏だ。「車の購入にビットコインを使用するのを一時停止する」とツイートした。この発言が伝わり、ビットコインの価格は急落し、4月の高値から1カ月半で半値となった。とどめを刺したのもマスク氏だ。6月4日、ビットコインの価格が390万円台まで下落した。前日は400万円前後で推移していたが、マスクCEOがツイッター上でビットコインに対して離別を示唆したのが売り材料となった。

 ツイッターにビットコインのハッシュダックを付け、ひび割れたハートの絵文字と別れ話をするカップルの写真を投稿した。「ビットコインとの別れを示唆した」との見方が市場に一気に広がった。南アフリカの資産運用会社のCEOがビットコイン価格に関するマスク氏のツイートが「市場操作であり、米証券取引委員会(SEC)の調査を受けるべきだ」と述べた。

 6月13日、マスク氏は保有するビットコインの約10%を売却したことを明らかにした。「市場を動かさずにビットコインを簡単にやり取りできることを確認するため」と売却の理由を説明したが、マスク氏の旗色はよくない。

「マイニング(採掘)と呼ばれる計算作業に使われる電力の50%がクリーンエネルギー由来であると確認できれば、ビットコインによるEV購入手続きを再開する」とマスク氏は表明。この後にビットコインの価格は上昇したが、市場では「あや戻し」と冷ややかだ。

ビットコイン価格の急落と連動してマネックスG株が下げる

 東京株式市場ではビットコイン価格の急落を受け、マネックスグループ(G)株が下げた。4月21日には一時、前日比50円(5%)安の872円と3週間ぶりの安値をつけた。14日の高値1135円から23%下落した。ビットコインは4月14日の最高値から19日までに1割超安くなった。マネックスGは仮想通貨取引所のコインチェック(東京・渋谷区)を傘下に持っている。取引量の減少を懸念した投資家が、利益確定売りを急いだ。

 マネックスGの株価はビットコインの価格に連動して動く。4月上旬、マネックスG株は1000円を上回っていたけれど、ビットコイン価格の急落によって下げのトレンドに入った。

マネックスGの2021年3月期は仮想通貨交換事業で利益を捻出

 日本の仮想通貨ブームの先頭を走るのはコインチェックといわれている。コインチェックは2018年1月、利用者から預かっていた約580億円の仮想通貨が外部からの不正アクセスにより流出した。同年4月、コインチェックはマネックスGの子会社となった。仮想通貨への参入を目指していたマネックスと、不正流出後の経営再建で支援先を探していたコインチェックの利害が一致した。

 仮想通貨交換業者は金融庁への登録が必要だ。不正流出事件後、金融庁は厳しい姿勢で臨み、コインチェックの早期登録は難しいと見られていた。マネックスは登録前だが、「みなし業者」として営業できるコインチェックを買収。マネックスの信用力を担保にコインチェックは19年1月には仮想通貨交換業者への登録を完了した。

 コインチェックがマネックスGの業績を押し上げた。21年3月期の連結決算(国際会計基準)は売上高に当たる営業収益が20年3月期比46.4%増の779億円。税引前利益は5.1倍の212億円、純利益は4.8倍の143億円と過去最高益を更新した。仮想通貨市場の活況でコインチェックの取引が増え、トレーディング収益が膨らんだ。

 コインチェックの営業収益は20年3月期比5.4倍の208億円、セグメント利益(税引前利益)は33.7倍の98億円を叩き出した。マネックスは本業の証券部門でも、個人投資家の株式取引が活発だったため手数料収入が大きく増え、営業収益は16.4%増の309億円、セグメント利益は2.6倍の72億円となった。それでもコインチェックの利益が証券部門のそれを上回る。全社の税引き前利益の46%をコインチェックが稼いでいるという図式なのである。

 4月27日のオンライン会見でマネックスGの松本大会長は「各部門とも好調でグループ全体の顧客預かり資産は6.4兆円。上位地銀と同規模まで増えた」と胸を張った。年間配当は20年3月期の5.9円から12.0円へとほぼ倍増した。22年3月期の連結業績を開示していない。アナリストの業績見通しだと営業収益は21年3月期比11%減の696億円、税引き前利益は19%減の177億円、当期利益は15%減の122億円。減収・減益を予想している。ビットコインはテスラのイーロン・マスクCEO頼みの様相を強めている。もしマスク氏が手を引けば、価格上昇の風は完全にやむ。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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