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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国、全土で電力不足が深刻、工場停止相次ぐ…豪州産石炭の輸入禁止措置が裏目に、外交の失敗

取材・文=相馬勝/ジャーナリスト
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「Getty Images」より

 中国では昨年末から北京や上海、広州など大都市部で大規模な停電が起きるなど電力不足が発生していたが、5月に入って、広東省全域や海南省など南部地区で、6月には山東省や安徽省、江西省などにも拡大し、全国的に慢性的な電力不足に陥っている。このため、中国に進出している日本企業の工場の操業にも大きな影響が出ている。

 この原因について、中国の経済政策全般を統括する中国国家発展改革委員会のスポークスマンは「新型コロナウイルスの影響が下火になり、全国的に鉱工業生産が急速に回復したことや、季節的に夏季の入り口に入り気温が高くなってきていることによる電力消費量の増加に加え、水不足による水力発電量の不足が重なった」などとしている。

 中国では昨年末、新型コロナウイルスが流行するなか、広東省、北京市、上海市、浙江省、湖南省、江西省など多くの省や市で電力供給が逼迫し、企業の生産活動や市民生活に直接影響を及ぼした。

 さらに、今年に入ってコロナ禍が一段落つくと、全国的に生産活動が活発になるとともに、5月以降、深センや東莞、仏山、恵州、中山、潮州など広東省の多くの都市で電力制限が実施され、近隣の広西チワン族自治区、雲南省、貴州省、海南省など南部5省でも同様の事態が発生。

 6月に入ると、浙江省、江蘇省、山東省、安徽省、湖南省、湖北省、江西省も「電力供給停止・制限」の措置に踏み切るなど、東北地区や内陸部にも電力不足が波及しており、中国のほぼ全土が電力危機に見舞われている。

 中国の経済専門誌「財新」によると、とくに広東省では極めて深刻で、広東省政府は今後の電力の使用計画について「今年は広東省全体で電力供給不足に陥り、とくに乾期から雨期への季節の変わり目と、真夏のピーク期には電力供給の状況が厳しくなる。そのため、ピークシフト(電力の消費量が多い時間帯から少ない時間帯に活動を移すことで、電力消費量の波を平準化させること)によって電力消費を制限する可能性が高い」と警告している。

 ある日系企業の駐在員は同誌に対して「広東省には日系企業が多数進出しており、度重なる停電で生産活動がストップしている工場も多い」と述べている。同誌は今年に入っての電力危機の大きな要因として、「火力発電のための石炭不足」を挙げている。中国の主要な石炭生産地域である雲南省では5月下旬時点の石炭備蓄量はわずか50万トンで、一部の火力発電所では1~2日で消費してしまう量だという。

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