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自民党総裁選、高市早苗と野田聖子が「初の女性総理」争い…安倍前首相、権力の誇示に躍起

文=編集部
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自民党のサイトより

 自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)は、岸田文雄前政調会長と高市早苗前総務相に続き、河野太郎行革担当相が10日に立候補を正式表明。ただ、告示日までまだ時間があり、石破茂元幹事長や野田聖子幹事長代行はどうするのか、推薦人20人を集められるのか、対決の構図が固まらない。

 主要派閥が勝ち馬に一気に雪崩を打った1年前と違い、今回の総裁選は派閥の意思決定が告示ギリギリまでずれ込みそうだ。11月末までに必ず行われる衆院選の「顔」を求める若手・中堅が派閥幹部らの意向を聞く状況ではなく、派閥の統制がまったく効かないことが大きいが、大物議員らが右往左往するなかで、自民党内のドロドロとした人間模様が浮き彫りになっている。

安倍・麻生vs.二階

 まず、わかりやすいのは、「2A vs. 2F」。絶対に交わることのない、安倍晋三前首相・麻生太郎財務相のコンビと二階俊博幹事長のキングメーカー争いだ。これまでのところ、安倍氏は高市氏を支援し、推薦人集めにも全面協力。一方で安倍氏は、岸田氏の陣営に自身の側近らを送り込んでいる。

 麻生氏は態度を明確にしていないが、麻生氏を筆頭に麻生派の幹部たちは、同根派閥である宏池会の岸田氏を支援すると見られる。そうなると、二階派が岸田氏と高市氏を推すことはなく、必然的に河野氏か石破氏か野田氏ということになる。

 高市氏と野田氏もライバル関係。「初の女性総理」の称号の奪い合いはもちろんのこと、ここに至るまで、両者は似たような道をたどって来ている。高市氏は1993年、衆議院初当選。2006年の第1次安倍内閣で初入閣し、2012年の党三役の政調会長、2014年の総務大臣就任はいずれも女性初だった。離婚した元夫は同党の山本拓衆議院議員。

 一方の野田氏は、衆議院初当選は高市氏と同じ1993年。1998年の小渕恵三内閣で初入閣。2012年に党三役の総務会長、2017年に総務大臣。前夫(事実婚)はこちらも同党の鶴保庸介参議院議員である。ただし、野田氏が初当選から自民党議員であるのに対し、高市氏は無所属→新進党で、1996年に自民党入りしている。

「野田氏は過去に何度も総裁選出馬を模索して断念している。『女性初の総理大臣なら私だ』『自分のほうが本家本元の自民党』という気持ちがあるだろうから、高市氏が推薦人20人にメドをつけ、正式な出馬会見を開いたことを相当悔しがっているだろう。それで形勢不利なのに、ますますがむしゃらになっているように見える」(自民党関係者)

麻生vs.武田総務相

 そして、隠れた因縁対決は「麻生氏vs.武田良太総務相」だ。

「菅義偉首相が3日に退陣表明をした後の週末、赤坂の議員宿舎で石破氏と二階氏が会談したが、あれをセットしたのは二階派の武田氏だった。武田氏が石破氏に声を掛けて、二階氏と引き合わせたようです。二階派として、まだどうするか方向性が定まらないなかで、武田氏がいち早く動いていたのには驚きました」(二階派関係者)

 前述したように、二階派としては、河野氏、野田氏という選択肢もあるのに、武田氏がなぜ石破氏で動いたのか。

「麻生氏にひと泡ふかせたい、という強烈な対抗心でしょう。麻生氏と武田氏は地元が同じ福岡県で、県内の国政選挙や地方選挙でそれぞれが別の候補を支援して激しく戦うなど、ことごとく対立してきた『犬猿の仲』なのです。石破氏ならば『麻生切り』ができると踏んだ。河野氏は麻生派。武田氏としては河野氏が麻生派を飛び出しでもしない限り、積極的には推しにくい」(前出の二階派関係者)

 つまり、「派閥の論理」どころか、私憤、個利個略の次元である。もっとも石破氏が「白紙」を続けている以上、二階派内には「勝ち馬に乗るべし」と河野氏を推す幹部もいて、武田氏は微妙な立場になりつつある。

「安倍氏の動きも個利個略のたぐいですよ。安倍氏は次の衆院選後に派閥(細田派)に戻って領袖になるつもり。高市氏支援に前のめりしたのは、岸田氏が『森友問題』に触れたことに激怒したと解説されていますが、それだけはなく、タカ派の保守層にアピールして、自分の力を誇示する狙いがある。と同時に、高市氏支援で岸田氏を脅して自分の言うことを聞かせようとしている。高市氏より岸田氏のほうが勝利の確率は高いが、そうなっても岸田氏は自分に歯向かうことはないと踏んでいるのでしょう」(全国紙の政治部記者)

 最後に笑うのは、誰か。

(文=編集部)

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