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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

永田町で“河野太郎首相”を望む声が少ない理由…高市早苗議員も人望のなさがネックに

文=神澤志万/国会議員秘書
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河野太郎公式サイト」より

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 報じられている通り、永田町は自民党総裁選と総選挙をめぐって毎日大騒ぎですが、特に9月3日の菅義偉首相「総裁選不出馬」のニュースは、みんな驚いていました。

 確かに、横浜市長選の大敗が“ダメ押し”となって菅内閣の支持率はどんどん下がり、「次(の出馬は)厳しいかなあ」という話はありましたが、不出馬を表明するにしても、告示前くらいだろうといわれていたのです。

 もっとも、菅首相の失策は横浜市長選を除けばコロナ対策に関するものですから、同情票もあるようです。コロナ禍は前代未聞であり、すべてが初めてのことばかりでした。どなたが首相をやっても、そう結論は変わらなかったと思います。

 これに対して、安倍晋三前首相については「アベノマスク」の批判、「桜を見る会」の疑惑、そして「森友・加計学園」や「河井克行・案里夫妻への1億5000万円提供」に関する疑惑など、問題がたくさんありますよね。

 もう一つ指摘されているのは、菅首相は就任直後の昨年9月に解散総選挙をしておくべきだったということです。就任直後の、いわゆる「ご祝儀相場」で自民党の支持率が上昇していたときに総選挙に打って出れば、自民党の議席は増えていたでしょう。とはいえ、コロナ禍がこんなに続くのは想定外でしたし、こればかりは予測が難しかったですね。

 ちなみに、菅首相の不出馬宣言を受けて、最も落胆したのは立憲民主党の枝野幸男代表ともいわれていますね。支持率が低い菅首相となら、総選挙で立憲も有利に戦えたはず、ということです。確かに、不出馬宣言の直後に取材を受けた枝野代表は顔面蒼白でした。

 その後は「このタイミングで無責任」と批判していましたが、本来であれば「責任を取って総裁選不出馬」「総理辞任」は、野党としては「あっぱれ!」な話ではないでしょうか。

永田町では“河野太郎首相”を望む声は少数?

 自民党総裁選は、9月17日告示・29日投開票の日程で進められています。次期総裁の任期は2024年9月末までの3年間で、新内閣は10月はじめに発足する予定です。

 一方で、10月21日に衆議院議員の任期が満了します。任期満了を待たずしての解散総選挙が続いていたので、4年間の任期がだいぶ長く感じますね。

 この原稿を書いている9月8日現在、すでに立候補を表明している岸田文雄議員(岸田派)と高市早苗議員(無派閥)のほか、SNSで人気のある河野太郎行政改革相(麻生派)、さらに野田聖子議員(無派閥)や下村博文政調会長(細田派)などの名前が挙がっています。出馬が予想されていた石破茂議員(石破派)は、今回は慎重な感じですね。

 神澤の予想というか希望としては、このコロナ禍は「安全運転」の岸田議員に政権運営を任せ、アフターコロナの経済が落ち着き、少し挑戦的な政策を打ち出せる時期に、いわゆる新しい顔の政治家に政権を担っていただきたいと思います。

 だから、ネット上の人気やイメージではなく、実力があって経験豊富な人を日本の舵取り役として送り出してほしいです。また、世論調査などでいつも「次期総理」として名前の出る河野大臣は、永田町では首相就任を望む声は少数です。自民党の若手議員たちは河野大臣の人気を利用して選挙に勝ちたいだけで、首相としてふさわしいと思っているわけではないのです。

 永田町にいると、「なんで河野議員や石破議員は国民の人気があるの?」という話がよく出ますが、情報発信が上手なんでしょう。ポーカーフェイスより、感情表現が豊かで、何を考えているのかわかりやすい方が共感しやすいのでしょうか。

 でも、SNSは「炎上」も招きますよね。河野大臣はツイッターで部下の悪口もどんどんつぶやくので、スタッフは意見もできません。これってパワハラだと思いませんか?

 そもそも現政権の中枢を担う大臣の地位にある人が総裁選に出るなんて、それこそ無責任じゃないのかなあと思いますし、永田町では人望がないんです。それに、ワクチン不足の混乱はワクチン担当相である河野大臣の責任が大きく、それはご本人も認められています。

初の女性首相を狙う高市議員の弱点とは

 ちなみに、今回の総裁選で選ばれると「100代目の総理大臣」となるので、中高生たちも「将来は試験に出るかな?」と注目しているようです。日本の歴史の教科書に刻まれるであろう未来の総理大臣がどのような経緯で誕生するのか、楽しみなんですね。

 安倍前首相のプッシュもあって高市議員の名前も急浮上していますから、初の女性首相が記念すべき100代目だったらと考えるとワクワクしますが、永田町では高市議員も人望がないんです。

 人気だけでいうと、おそらく小池百合子東京都知事は101代目の首相を目指しているのではないでしょうか。100代目は歴史的ですが、短命で終わる可能性も高く、それより101代目の方が歴史的に記憶されそうな予感がします。

 ところで、安倍前首相は在任中に岸田議員を後継指名していたのをご記憶でしょうか? 当時の永田町は、なんとなく「安倍長期政権の後は岸田さんが引き継ぐんだよね」という空気がありました。安倍首相の長期政権維持のために、岸田議員が総裁選への出馬を取りやめたこともあったんです。

 それなのに、昨年の総裁選では菅官房長官が出馬を表明すると、「自分たちの傀儡にはどちらがいいか」という視点で、安倍首相も麻生太郎副総理も菅官房長官に「乗り替えた」のです。

 私たちには自民党の総裁を決める権利はありませんが、決してイメージや党利党略に騙されずに新総裁=次期首相を選んでいただきたいです。派閥の論理なんて、この時代にはもういいじゃないですか。投票権を持っている自民党議員と自民党員のみなさまは、自分で考えて「この国を引っ張っていくのに最もふさわしい」と思う候補者に投票してほしいです。

 いずれにしろ、今回は結果を簡単に予測できない総裁選になりそうなので、情勢を注視していきたいです。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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