シバターの公式Youtubeチャンネルより
昨年の大みそかに行われた総合格闘技イベント「Yogibo presents RIZIN.33」での注目マッチ、Youtuber・シバターと元K-1王者の久保優太の対戦をめぐる八百長問題で、RIZIN運営元が関与していた疑惑、さらには日本MMA審判機構(JMOC)が関与する公式戦ではなかった疑いが浮上し、波紋を呼んでいる。
久保は、12月にシバターから試合本番の流れについて“台本”を持ち掛けられた際の電話でのやりとりを録音した音声を持っていると明かしていたが、久保が提供したと思われるその音声を、5日、人気YoutuberのコレコレがYoutube上で公開。そこでは、以下のようなやりとりがなされている。
シバター「2ラウンドの、たとえば1分とか2分のところで合図を決めて、要はハイキックだったら、ハイキックで倒すとかを決めて。台本的なやつをつくって、お互いに致命傷を与えずという約束のもと試合をつくるというのは可能か不可能か、という打診なんですが」
久保「俗にいう八百長っていうやつですか?」
シバター「そうですね。プロレスってものですね」
シバター「これは(RIZIN広報部長の)笹原(圭一)さんにも、実は話をしていて。『つくっていいですか?』と。(略)『久保さんに、そういった話を打診するのは可能です』というのが、RIZINさん、笹原さんの回答でした」
久保「周りは“あのシバターさんとやるんだ”と盛り上がってくれていて、シバターさんのおかげで一挙一動がヤフーニュースでも取り上げてもらって。これがなくなると寂しいと思っています」
シバター「一番いいのは、ケガなく久保さんの株が上がって。RIZINさんなり、いろいろ動いていると思うんで、すべてが無事に終わるのが、私も一番望むかたちであるんです」
このほかにもシバターは、昨年7月にシバターがお笑いタレント「みなみかわ」と対戦したアマチュア総合格闘技イベント「BREAKING DOWN」でのマッチについても次のように言及。ちなみに同イベントは格闘家の朝倉未来がスペシャルアドバイザーとして関与している。
シバター「実は結構あって、ブレイクダウンとか実はつくっているんです。逆パターンで、芸人さんをケガさせられないんで、『みなみかわ』さんとか、ケガをお互い絶対しないかたちのものをつくっていたんですよね」
さらに、今回のRIZIN大会の運営に関与したJMOCが4日に行った試合結果に関する発表により、シバターと久保のマッチ、那須川天心と五味隆典戦のマッチが公式戦ではなかったことが判明し、物議を醸している。
RIZINファンへの信義違反
「たとえば2018年に行われたボクシングのフロイド・メイウェザー(5階級制覇)と那須川天心の試合はエキシビションマッチであることが事前に発表されていたが、そうした発表がない限り、基本的にRIZINはガチンコの真剣勝負をウリにしている。今回のシバターと久保の試合もエキシビションマッチだとは発表されておらず、多くの観客は公式な真剣勝負だと信じてチケットを購入して会場に足を運んだ。さらには地上波のテレビでも放送され、スポンサー企業もついていた。
もしRIZIN運営元が“台本”があることを了承しながら、それを隠して大会を実施していたとすれば、観客、そして多くのRIZINファンへの信義違反となる。久保がRIZINサイドから“口止め”されているという話も伝わってくるが、気になるのは騒動になってからすでに5日近くたつのに、運営元が沈黙を貫いているという点。疑念は深まるばかりで、早急な釈明が求められる」(スポーツ紙記者)
ちなみに久保優太はRIZIN運営元からYoutubeへの生放送出演を止められているといい、久保は2日に「青汁王子」の名で知られる三崎優太氏のYouTubeライブ配信に電話出演した際、RIZINは台本に関して関与していないと語っていたが、別のスポーツ記者はいう。
「公開された電話の音声では、久保はシバターからRIZINが台本を了承している旨を聞いており、“RIZINは関与していない”という発言は嘘をついていたことになる。久保が運営元の関与を否定するよう指示されていたのではないかという話も広まっているが、結局、シバターも久保も運営元も“クロ”だったということなのか。
いまだに運営元が否定しないことで、実は他の大会や試合でも八百長があったのではないかという疑いが広まり、RIZIN全体の信用にかかわる問題になりつつある。さらには真剣勝負をしていた選手にも風評被害がおよびかねず、もし選手たちからも信用を失えば、RIZINは存続の危機に立たされかねない」
果たして真相はいかに――。
【経緯】
・先月31日
総合格闘技イベント「Yogibo presents RIZIN.33」でのシバターと久保優太の試合で、シバターが久保に飛びつき腕ひしぎ逆十字固めを決め、1ラウンドの2分16秒でシバターが勝利。
・今月1日
久保の妻の親族を名乗る人物が、Twitter上で久保とシバターが事前に試合の流れについてLINE上で打ち合わせをしているタイムラインのスクリーンショットを投稿。そこには次のように書かれてた。
シバター「多分いつでも私を仕留められると思うので 出来れば2ラウンド目に決めてください 視聴率や、てんちむさんにラウンドガールお願いしてたりするので 1ラウンド目はめちゃくちゃ私ふざけるので 1ラウンド目うまく時間潰して 2ラウンド目で本気で倒しに来てください」
久保優太「いつでも倒せるだなんてとんでもないです!僕の良いのが当たれば倒れる、シバターさんの良い技が極まれば極まる。というどっちもあり得る展開だと思います!」
・1日
シバターが自身の公式Youtubeで動画を投稿し、次のように疑惑を否定。
「当人ですので、はっきり言います。私、シバターは、昨日の久保さんとの試合において一切の八百長はしておりません」
「(ネット上で出回っているLINEのスクショについて)まったく身に覚えはありません。あれ捏造なんじゃないですか? 誰がなんのために画像をつくったか、わからない」
「もし仮に万が一、あれが本物だったとしたら、シバターからそういう打診が久保さんに送られていたとしたら、久保さんって元K-1チャンピオンなんでしょう? プロ格闘家でしょう? 絶対のんじゃだめでしょう。のんだふりをしても、1ラウンドでマジに仕留めにいかなきゃ駄目でしょう。もし1ラウンドを流すつもりだったとしても、もしシバターが本気で仕掛けてきたら、対処しなきゃダメでしょう。プロなんだから」
・2日
久保優太が「青汁王子」の名で知られる三崎優太氏のYouTubeライブ配信で電話取材に応じ、次のように語った。
「“(試合を)辞退してすいません”みたいな連絡が(シバターから)DMで飛んできて。“いやいや、どういうことですか? 冗談だったんじゃないんですか?”みたいな感じで。実際は辞退するって話が進んでいて、ケガをしているというか“パンチをもらうと身体が痺れるのは本当だ”って言っていて、“一発でももらうと試合ができないので、試合を欠場するんです”みたいなことを」
「(シバターは)“台本というか、約束事をやってくれるのだったら契約しようと思うんですけれど”みたいなことを言っていて。僕もすごく心苦しくて。カード発表されてスポンサーさんとか、無理してくれている方のチケットとか、サラちゃんも入場の準備をしてくれていたりとか、動き出していちゃって。RIZINの運営もそういうふうに動いてくれているわけじゃないですか、試合をやるために」
「とりあえず、まずは試合を成立させることを優先させないといけなかったので、考えて“わかりました”ということで返信させてもらって。“シバターさんの意向に沿うので試合をやってください”みたいな感じで応えちゃったんですね」
「シバターさんの提案だと“1ラウンドに決着をつけないでくれ。顔面パンチは殴らないで、蹴りは思い切り蹴っていい、蹴りはいくらでも蹴っていい”ということで。“そういう約束とかを守るので”っていうことですね」
「(シバターは)“顔に障害があって、パンチをちょっとでも顔にもらうと痺れちゃって”。で、娘さんとかがいて“今日も娘にクリスマスプレゼントを”って話をしていて。“家族が大事だな”って話をされていたんですけれど、僕のなかで揺さぶられてしまった」
・4日
シバターが自身のYoutubeチャンネルに動画を投稿。次のように久保に呼び掛け。
「お前、去年の大晦日のRIZINで戦って、試合前にそのYoutuberの『1ラウンド目は手を抜いてください。2ラウンド目から、お互い本気でいきましょう』というあからさま、わかりやすい嘘に騙されて、1ラウンド目、手加減して負けたらしいな」
「久保、そんなのそのYoutuberがいっつもいつも動画や試合で使う常套句じゃないか」
「一度、台本をのんだ格闘家。どこも使ってくれないぞ。RIZINはおろか、日本の格闘技界全部だ」
・5日
人気YoutuberのコレコレがYoutubeで、久保が12月にシバターから試合本番の流れについて“台本”を持ち掛けられた際の電話でのやりとりを録音した音声を公開。