大みそかに行われた総合格闘技イベント「Yogibo presents RIZIN.33」での注目マッチ、Youtuber・シバターと元K-1王者の久保優太の対戦をめぐり八百長疑惑が浮上している件で、2日、久保は、事前にシバターから試合のシナリオを持ち掛けられ、それに応じていたことを告白。真剣勝負とみられていたRIZINでの一戦に“台本”があったことがわかり、格闘技ファンたちは騒然となっている。
試合では序盤、久保はシバターに何発かキックを浴びせ、シバターは土下座やタイガーステップなどのパフォーマンスを見せるも、なぜか久保はそのままK-1仕込みの強力なキックとパンチを畳みかけて相手を倒すような姿勢を見せず、逆にシバターから右パンチを受けてダウン。さらに久保は立ち上がったところでシバターから飛びつき腕ひしぎ逆十字固めを決められ、わずか1ラウンドの2分16秒で敗北となった。
しかし、翌1日には久保の妻の親族を名乗る人物が、Twitter上で久保とシバターが事前に試合の流れについてLINE上で打ち合わせをしているタイムラインのスクリーンショットを投稿。そこには次のように書かれてた。
・シバター「多分いつでも私を仕留められると思うので 出来れば2ラウンド目に決めてください 視聴率や、てんちむさんにラウンドガールお願いしてたりするので 1ラウンド目はめちゃくちゃ私ふざけるので 1ラウンド目うまく時間潰して 2ラウンド目で本気で倒しに来てください」
・久保「いつでも倒せるだなんてとんでもないです!僕の良いのが当たれば倒れる、シバターさんの良い技が極まれば極まる。というどっちもあり得る展開だと思います!」
シバターはLINEを「捏造」と否定
もし、このやりとりが事実であれば、真剣勝負が前提のRIZINだけに“ヤラセ”といわれても仕方がないが、シバターは1日、自身の公式Youtubeで動画を投稿し、次のように疑惑を否定していた。
「当人ですので、はっきり言います。私、シバターは、昨日の久保さんとの試合において一切の八百長はしておりません」
「(ネット上で出回っているLINEのスクショについて)まったく身に覚えはありません。あれ捏造なんじゃないですか? 誰がなんのために画像をつくったか、わからない」
「もし仮に万が一、あれが本物だったとしたら、シバターからそういう打診が久保さんに送られていたとしたら、久保さんって元K-1チャンピオンなんでしょう? プロ格闘家でしょう? 絶対のんじゃだめでしょう。のんだふりをしても、1ラウンドでマジに仕留めにいかなきゃ駄目でしょう。もし1ラウンドを流すつもりだったとしても、もしシバターが本気で仕掛けてきたら、対処しなきゃダメでしょう。プロなんだから」
シバターから公然と批判とも受け取れる言われ方をされた久保優太は2日、「青汁王子」の名で知られる三崎優太氏のYouTubeライブ配信で電話取材に応じ、次のように語った。
「“(試合を)辞退してすいません”みたいな連絡が(シバターから)DMで飛んできて。“いやいや、どういうことですか? 冗談だったんじゃないんですか?”みたいな感じで。実際は辞退するって話が進んでいて、ケガをしているというか“パンチをもらうと身体が痺れるのは本当だ”って言っていて、“一発でももらうと試合ができないので、試合を欠場するんです”みたいなことを」
「(シバターは)“台本というか、約束事をやってくれるのだったら契約しようと思うんですけれど”みたいなことを言っていて。僕もすごく心苦しくて。カード発表されてスポンサーさんとか、無理してくれている方のチケットとか、サラちゃんも入場の準備をしてくれていたりとか、動き出していちゃって。RIZINの運営もそういうふうに動いてくれているわけじゃないですか、試合をやるために」
「とりあえず、まずは試合を成立させることを優先させないといけなかったので、考えて“わかりました”ということで返信させてもらって。“シバターさんの意向に沿うので試合をやってください”みたいな感じで応えちゃったんですね」
「シバターさんの提案だと“1ラウンドに決着をつけないでくれ。顔面パンチは殴らないで、蹴りは思い切り蹴っていい、蹴りはいくらでも蹴っていい”ということで。“そういう約束とかを守るので”っていうことですね」
「(シバターは)“顔に障害があって、パンチをちょっとでも顔にもらうと痺れちゃって”。で、娘さんとかがいて“今日も娘にクリスマスプレゼントを”って話をしていて。“家族が大事だな”って話をされていたんですけれど、僕のなかで揺さぶられてしまった」
揺らぐRIZIN全体への信頼
また、シバターが否定しているLINEのスクショについて「あれは本物です」と断言しており、シバターの「まったく身に覚えはありません」という説明は虚偽ということになるが、スポーツ紙記者はいう。
「確かにそういわれてみれば、序盤の両者の動きを見る限り、あそこで久保が一気にキックとパンチで攻め込めばシバターをダウンに追い込めたように思え、久保が攻撃をセーブしていた感もあったし、パンチはほとんど使っていなかった。
LINEでシバターは『色々考えたのですが、明日は台本なしでやりましょうか』と言いつつも、1ラウンドで勝負をつけることは避けてくれと要求し、それに久保優太も応じている時点で、完全に八百長といえる。さらにこの試合はJMOC(日本MMA審判機構)の公式試合でもあり、当人同士だけの話ではすまされず、RIZIN運営元の監督責任が問われることになり、徹底した調査が求められる」
久保は1日、自身のTwitter上で「正直者が馬鹿を見るのか。騙されるより騙される方がいいのか。自分は真面目に誠実に紳士に生きたい」と投稿していたが、別のスポーツ紙記者はいう。
「“1ラウンドでは勝負をつけない”という台本を持ち掛けられたほうの久保が、その約束を破ったシバターに負けて怒っているのは理解できるが、真剣勝負だと信じてチケットを買って足を運んでいたファンたちへの裏切り行為であることには違いない。さらに罪は重いのは、こうしたケースが1つでも発覚すると、“他の試合でも八百長があるのではないか”という世間からの疑いの目がRIZIN全体に向いてしまう点。RIZINへの根本的な信頼が揺らぎかねない」
シバター、久保、そしてRIZIN運営元による釈明が待たれる。
(文=編集部)