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富士急ハイランド、危険事故が多発、負傷の申し出殺到…背後に県と富士急行の対立

文=編集部
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富士急ハイランド
富士急ハイランド(「Wikipedia」より)

 山梨県を代表するテーマパーク「富士急ハイランド」(富士吉田市)で、遊具の利用客が負傷する事故が相次いでいる。人気アトラクション「ド・ドドンパ」での事故は発生から半年以上、県に報告せず放置。同社に批判が殺到した。先月には観覧車の窓が開いたまま運行する前代未聞のアクシデントが起き、安全が軽視されている。

県を分断

 一連の事故や事後対応の甘さは、ガバナンスが効いていないがゆえに生じたことはいうまでもない。ただ、問題の背後には、県知事の長崎幸太郎氏と富士北麓地域で観光事業を大展開する富士急行を率いる堀内家による県を分断する骨肉の争いが見え隠れする。

 新型コロナウイルス感染症が列島を襲った夏。長崎氏は8月20日に県庁で記者会見し、「極めて遺憾だ」と語気を強めた。昨年末以降、ド・ドドンパの利用客4人が骨折したにもかかわらず、報告を8カ月間怠っていたことが発覚したため。

 富士急ハイランドは11日後の31日、4人とは別に新たに2人が骨折するなどのけがを負っていたことが分かったと発表。同社が設けた相談窓口には、けがをしたなどの申し出が殺到し、わずか10日間で130件を超えた。

 同社は「報告事案に当たるとは思っていなかった」と釈明したが、長崎氏は「速やかに報告してもらえれば、このようなことはなかった」と断じた。

 同社が事故の原因を究明するため設置した第三者委員会は11月、ド・ドドンパ利用客に対する乗車時の注意喚起方法に改善の余地があるとした中間報告をまとめた。これを受け、同社は早速安全対策を強化した。

 通常の事故であれば、話はここまで。しかし、ここで話を完結できないほど山梨県と富士急行の間には深い亀裂が入っている。両者はいわゆる県有地問題を抱え現在係争中。県は富士急行に貸し出している県有地の賃料引き上げを目指しているが、同社は反発を強める。県議会は知事派と同社を支持する側に割れ、県民置き去りの権力闘争が続いている。ド・ドドンパの事故も政争の具になりそうな雰囲気が漂う。

ワクチン相誕生で緊張

 県有地問題とド・ドドンパ事故が相まって激化する対立に県民は苦々しい思いでいっぱいだ。さらにこの間、新たな火種になりかねない出来事が2つ起きた。

 一つは、長崎氏と衆院山梨2区で争いを繰り広げた堀内詔子衆院議員が、岸田文雄内閣の発足に伴いワクチン相に就任したこと。2017年の衆院選では堀内、長崎両氏は無所属で出馬し、勝ったほうを自民党が追加公認するという死闘を繰り広げた。結果、堀内氏が長崎氏を下し、同氏は19年に知事に転身した。両氏は表向きには「手打ちをした」ことになっているが、実態は違う。

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