SNSやネットニュースなど、私たちの生活に溢れているのが「活字」であり「文章」だ。
あるニュースや記事を見て、私たちは見出しやタイトルを見て読むか読まないかを判断する。そして、読むと判断した見出しをクリックする。
ただ、そこから記事の最後まで読み通さないこともある。そこまで興味のない話題だった場合や、あるいは文章に何らかの問題があった場合だ。
文章には「読みやすさ」の前に「見やすさ」がある
文章は「読みやすさ」が大事だとされるため、書き手はやはりそこに注意する。ただ、読みやすさ以前に、文章には「見やすさ」がある。「読みやすさ」と「見やすさ」は、同じようでいて実は少し異なる。
『一目でわかる文章術 文章は「見た目」で決まる』(石黒圭著、ぱる出版刊)では、「読みやすさ」よりも「見やすさ」に着目し、記号、文字、レイアウト、文章構成、感覚表現の5つの観点から見やすい文章の基本を紹介する。
これは一例だが、たとえば文章をぱっと見たときに、漢字がやたらと多い文章は印象が重くなり、実際に読む前からとっつきにくい印象を与えてしまう。文章としては平易なのに、漢字が多くページ全体の見た目が堅苦しいために、読むことを敬遠されてしまうかもしれない。こういう文章は「見やすい」とはいえない。
だから、漢字が多くなりすぎないように、仮名とのバランスを取るようにしたい。良いとされる比率があり、「漢字:仮名=3:7」「漢字:平仮名:片仮名=2:7:1」といわれている。
また、大切なことは、漢字で書くべきものを漢字で書いたうえで、助詞、助動詞などの付属語を漢字で書かないようにすること。たとえば、助動詞なら「ごとき(如き)」「ようだ(様だ)」、助詞なら「くらい(位)」「ほど(程)」は、平仮名で書いたほうがいい。
手書きの文章であれば、そもそも漢字を知らないといった理由もあり、平仮名で書く文字が多くなる。しかし、パソコンでMS Wordなどのソフトを使って文章を書いていると、普段漢字で書かない文字でも簡単に漢字に変換できてしまうので、どうしても漢字が多くなりがちなのだ。付属語は平仮名で書き、漢字と仮名のバランスに注意し、漢字が多くなりすぐないようにすることが、「見やすい文章」を作る一つのステップだ。
仕事でのメールや企画書、プライベートでもTwitterなどのSNS投稿など、個人でも文章を書く機会は多い。
読み手が読みやすい文章を書き、できればたくさんの人に読んでもらいたいもの。その際、どんなに内容が濃く、いい文章でも、読んでもらえなければ意味がない。
書く前に、読み手が読みたくなる文章はどんな文章なのかを考え、まずは読んでもらうために「見せる文章」の書き方をマスターすべきだ。「ぱっと見てすぐにわかる文章術」をコンセプトに書かれた本書を参考に、見た目にこだわった文章を書けるようになってはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。