立憲民主党の公認候補で、参議院選挙に大阪選挙区から立候補している石田敏高(としたか)氏が6月24日に、自身のツイッター上に投稿した政党PRのポスターが物議を醸している。
石田氏は「大阪独自の政党ポスターです。いい感じでしょ?」とのコメントと共に、「大阪復活」「立憲民主党」と書かれたポスターを投稿したが、そのポスターに使われている画像を拡大してみると、うっすら「Adobe Stock」との透かし文字が見える。
これに気付いたツイッター利用者から、有料コンテンツを無断使用しているのではないか、との指摘が相次いだ。Adobe Stockでは、有料コンテンツのサンプル画像を正規の手順で購入せずに使用すると、透かし文字が入るようになっている。
そのため、ネット上では「立憲民主党はITリテラシーが低すぎないか?」「ちゃんとライセンスを購入していると信じたいが、それでもこれは無断使用と疑われても仕方ない」など、石田氏や立憲民主党への批判が殺到した。
批判を受けてか、石田氏は投稿を削除。その後、あらためて28日に「ご心配おかけてしてすみません!ちゃんとライセンスは取ってますから大丈夫です。デザイン段階のものをあげてました」(原文ママ)と謝罪と釈明をしつつ、透かしが消えた写真でつくったポスターを公開し直した。
だが、「デザイン段階のものをツイッターにアップすることが信じられない」と疑問視する声や、「そもそもAdobe Stockのコンテンツは政治利用できないのではないか」との指摘が出ている。
そこで、Business Journal編集部は、アドビシステムズ・マーケティング本部広報部へ、直接問い合わせた。
――立憲民主党の参議院候補がSNSにAdobe Stockのコンテンツを使用したポスターを公開していたことを把握していましたか?
広報担当者 「本日、弊社に別のお問い合わせがあり、社内で確認中でございました」
――当該候補は「ライセンスは取っています」と釈明し、購入済みの画像に差し替えていますが、そもそもアドビ社の画像については、政治利用は不可ではないか、との指摘があります。当編集部としても、利用規約の「7.1(E)」を読む限り、政治利用は規制されていると判断いたしますが、御社の見解としてはいかがでしょうか。
広報担当者 「Adobe Stockの利用規約上、政治的な利用についてはご遠慮いただいております」
――こちらは仮定条件ではありますが、このポスターを作製したのが外部業者であった場合、SNSなどにポスターを掲載するにあたっては、立憲民主党としても御社とライセンス契約を結んでいなければならないと解すべきでしょうか。
広報担当者 「外部制作業者様がポスターなどのクリエイティブを作成するのにAdobe Stockの素材を使用するにはライセンス契約されていることが前提ではありますが、Adobe Stockの素材を政治的に使用することについては規約上、ご遠慮いただいております」
石田氏は、ライセンスは取っていると説明しているが、そもそも政党のポスターにAdobe Stockの写真を使用することは規約違反だった。
立憲民主党大阪府総支部連合会は28日、HP上で「第26回参議院通常選挙 大阪府選挙区の確認団体ポスターに使用した写真について、Adobe Stock制限規定抵触により、使用を中止いたしました。現在提示されているものにつきましては、速やかに撤去いたしますことをご報告し、関係各位に心よりお詫び申し上げます」とのコメントを発表。
だが、その経緯などについては説明していない。
また、石田氏は自身のHPなどのプロフィール欄でも、「保育士の資格も取りました」とアピールするなかで、Adobe Stockの透かしが入った画像を使用しており、サンプル画像の無断使用が常態化している可能性が指摘されている。
さらに、ツイッター上で選挙活動の予定を公開しているが、連日、朝7時から辻立ちなどをしていることについて、「街頭演説は8時前は禁止されているのではないか」といった指摘があるが、これに対して「選挙運動は24時間できます」「7時~8時は街頭演説はしていません」と回答している。
選挙管理委員会の見解によると、確かに選挙運動は24時間可能だが、街頭演説は午前8時~午後8時までだという。マイクなどの機材を使ってはいけないだけではなく、名前を連呼したり、「〇〇をよろしくお願いします」「〇〇党に投票してください」などと呼びかけることも禁止されている。有権者は、候補者が選挙違反行為をしていないかも十分に見ていく必要があるだろう。
(文=Business Journal編集部)