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偏差値60程度の大学入学が人生のコスパが一番良い?就活で東大・早慶と同じ土俵?

取材・文=文月/A4studio
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「gettyimages」より

 8月、あるTwitterユーザーによって投稿された以下のツイートが5.1万以上の「いいね」を獲得するなどして話題になった。

「お勉強は偏差値60、つまり、上位15%以内にいれば、専門職にありつけるのだ。ところが、将棋、野球、ボクシング、ピアノ等々、多くの芸事は上位1%でもプロとして生計を立てるのは難しいのだ。だから、他の芸事を嗜んでいると、お勉強は何と弱者に優しい世界なのだろかと思われてくるのだ」

 要するに、プロのスポーツ選手、ミュージシャン、アーティストなどを職業にして生きていくのは確率的に極めて難しいが、偏差値60以上の大学に入学すれば、希望する職に就ける可能性が高いというのだ。このツイートに対し、

「やってて楽しくないけど、とてもそう思う」
「お金次第だが確実にリターンは見込める」

など、勉強こそが将来への投資として最もコスパが良いと主張するユーザーが少なくなかった。

 そこで今回は、この考えが現実的なのかどうか、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏に話を聞いた。

偏差値60程度の目安はMARCHクラスの大学

 まず、偏差値60ほどに位置する大学とは、具体的にどこなのだろうか。

「もっとも有名な例でいうと、MARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)ですね。大手大学受験予備校・河合塾の算出した偏差値によると、MARCHの偏差値は55~65ほど。関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)もだいたい同じぐらいの偏差値です。また早稲田大学、慶應義塾大学や学習院大学、東京理科大学などの一部の学部・学科も60ほどです。ちなみに60より下になると、日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)の45~55ぐらいが挙げられます。

 ただ偏差値は予備校によって変動することに注意しましょう。一例ですが、法政大学法学部T日程の偏差値を見ると、河合塾では62.5となっていますが、駿台では55、東進ハイスクールでは64、ベネッセでは72(ただし、日程記載はなし)とバラバラ。このように同じ大学学部でも17ポイントもばらつきが出ていますので、ひとつの偏差値を鵜呑みにしないほうがいいでしょう」(石渡氏)

 では偏差値55の学生が偏差値60を目指す場合、どれだけ点数を上げる必要があるのだろうか。

「予備校業界では、標準偏差の10分の1の点数が偏差値を1ポイント上げるために必要だといわれています。例えば、ある科目の標準偏差が30だとしたとき、「30÷10」で3点上げると偏差値が1高くなる計算になります。ですから偏差値55の科目を60に上げるためには3点×5ポイントで15点上げる必要があるんです。

 ただ高校生の伸びしろは、当人たちが考えているよりも大きいという場合もままあるので、丁寧に勉強を続けていれば偏差値60超えは十分にあり得るでしょう。特に高校3年の秋以降は飛躍的に成績が伸びる学生も多いので、最後まで諦めずにがんばってほしいですね」(同)

就活は足切りをクリアすれば、あとは人間力?

 続いて、偏差値60以上の大学の就活事情について確認しておきたい。

「一概にはいえませんが、民間企業総合職の就活においてMARCHなどの偏差値60台の学生を無視できる企業はごくわずかです」

 つまり偏差値60以上の大学に入っておけば、就活時に学歴フィルターによってエントリー段階で足切りに遭う機会は減りそうだ。

「ただ一部の外資系金融やコンサル、BtoB系のメーカーの総合職は、東大、京大、一橋、早慶でほぼ固まってしまうでしょう。特にBtoB系のメーカーは、技術職のほうが国公立の大学院出身者で構成されているので、彼らの知識量、研究力を相手にできる情報処理能力の高い学生が求められます。そのため、早慶未満は足切りされる傾向にあると推測できますね。とはいえ、早慶以上だけでは採用数に満たないのでMARCHクラスの学生を採る企業も少なくはありません」(同)

 学歴フィルターで足切りに遭わなければ、偏差値60レベルの大学の学生でも東大生や早慶生と同じ土俵に上がれることになる。エントリーシートで当落が決まる第一次選考では大学名で足切りされたり、ペーパーテストの点数で決まる第二次選考などでは学力が問われたりするだろうが、それ以降の第三次選考、第四次選考といった段階の面接などでは、その学生の人間力や人生経験が問われるのだろう。

「たしかに大卒就職に関しては偏差値や学歴以外の要素が重要視され、人間力や社風に合う人材かどうかを判断されます。ですから、偏差値60以上の大学に入っていれば就活は安心という保証にはなりませんが、その学生の人間力次第で、東大生や早慶生が落とされた企業からMARCHの学生が内定をもらうというケースが多々あるのも事実です」(同)

 また、MARCH未満の大学でも企業への就職実績が良い大学はあるという。

「地方国公立大学の場合、仮に偏差値がMARCHクラス未満だったとしても、意外と大企業に採用される学生は多いです。国公立大学のすべてが5教科7科目受験を行うわけではありませんが、地方国公立大学の学生であれば、大学入学共通テスト5教科7科目、二次試験を経験したと認識している企業が多いため、頭脳明晰というイメージを持たれがちです。ですから実際には偏差値が60未満であっても、国公立大学の学生というだけで、採用の対象にする企業は多いでしょう」(同)

 偏差値60以上の大学に入っておけば将来安泰という保証があるわけではないが、就活時に世の中の大半の企業で最初の門戸が開かれているので、あとは本人の人間力次第でやりたい職に就ける可能性は高まる。そう考えると、確かにスポーツ、音楽、芸術などで生計を立てることを目指すよりも、コスパが良いといえる面はあるのかもしれない。

(取材・文=文月/A4studio)

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

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