超定番ともいえるロングセラーのスナック菓子、ヤマザキビスケット「チップスター」。赤い円筒上のパッケージでおなじみだが、SNS上では、購入したところパッケージの箱の縦の長さに対してポテトチップが半分ほどしか入っていないという報告が写真とともに拡散され、話題を呼んでいる。
ヤマザキといえば「オレオ」や「リッツ」「プレミアム クラッカー」のメーカーというイメージが強かったが、これらはどれもヤマザキビスケットの前身であるヤマザキ・ナビスコが販売していた。ヤマザキ・ナビスコは、山崎製パンと米ナビスコなどの合弁会社として1970年に設立され、ナビスコブランドの製品を生産・販売していたが、ライセンス供与していたモンデリーズ・インターナショナルとの契約が2016年に終了。前出3商品の日本での販売はモンデリーズ・ジャパンが引き継ぐ一方、ヤマザキ・ナビスコはヤマザキビスケットに社名を変更し、代替商品として現在は「ノアール」「ルヴァンプライム クラッカー」「ルヴァンクラシカル クラッカー」を販売。このほか、「エアリアル」「チップスター」が同社の主力商品となっている。
1976年に日本初の成型ポテトチップとして発売されたチップスターは、約50年の歴史を誇る長寿商品で、今でも多くのスーパーやコンビニエンスストアで目にすることができる。レギュラーのテイストは「うすしお味」「コンソメ」「のりしお」で、シンプルで変わらない味が多くの固定ファンを獲得している。原材料価格やエネルギーコストの上昇を受けた物価上昇が広がるなか、ヤマザキも3月出荷分からチップスターの価格改定と規格改定を実施。現在、都内のスーパーではSサイズが139円、ロング状のLサイズが258円で販売されている(ともに税込み/価格は店舗により異なる)。
袋入りのスナック菓子、パッケージ全体の半分以上は空気
そんなチップスターだが、パッケージの箱の縦の長さに対してポテトチップが半分ほどしか入っていないという報告が写真とともにSNSで拡散され、以下のようにさまざまな声があがっている。
<チップスター容器は長いのに中身は半分>(原文ママ、以下同)
<優良誤認>
<ポテトチップスの半分は空気>
<筒買わされたようなもんだよ>
<長い方も半分くらいなのかな ハーフサイズの入れ物に全部入ったりして>
<値上げするより量減らすほうが売れるからって限度はある>
<これ箱を短くしたらあかんのか?>
<ポテチの容器や袋は容量に合わせてサイズを小さくすべき>
<企業も大変なんだろうけど誤魔化すくらいなら容器のサイズ合わせたほうが印象は変わる>
実際に当サイトでも都内のスーパーで複数のチップスターを購入したところ、Sサイズ・Lサイズともに概ねパッケージ容器の縦の長さに対してポテトチップが5~6割ほどの高さまで入っている状態であることが確認できた。
「確かに写真の絵的にはインパクトがあり、買った人のなかに『空気と箱を買わされた』と感じる人がいても仕方ないかもしれない。ただ、たとえば袋入りのスナック菓子などはパッケージ全体の半分以上は空気なので、同価格帯の他社のポテトチップ商品と比べて、ことさらにチップスターの内容量が少ないということはないだろう。その意味では、筒状の容器だとパッケージ全体の体積と内容量の違いが一目でわかりやすいので、やり玉にあげられやすい面は否めない」(食品業界関係者)
ヤマザキビスケットの見解
ヤマザキビスケットに聞いた。
――以前に比べて内容量を減らすなどの変更を実施しているのか。
ヤマザキビスケット 内容量は3月1日出荷分より、Lサイズが115gから105gへ、Sサイズが50gから45gへ変更となっています。
――コスト削減や消費資源削減の観点から、内容量に合わせてパッケージのサイズを変更したほうがよいのではないかという声もあるが。
ヤマザキビスケット 原材料価格やエネルギーコストの上昇に対して早急に対応するためには、パッケージサイズ変更までの対応に至りませんでした。お客様の声を真摯に受け止め、今後も製品施策の検討を進めてまいります。
――優良誤認ではないかという指摘もみられるが、貴社の見解は。
ヤマザキビスケット 今回のお客様からのご指摘も真摯に受け止め、総合的に判断していきたいと考えています。
(文=Business Journal編集部)