山崎製パンは看板商品である「薄皮シリーズ」の内容量について、今月出荷分より5個から4個に削減。これが「実質値上げ」だとして大きくニュースにも取り上げられているが、5個だったときと4個に削減後の商品全体の総重量が実は「同じ」だという指摘がネットで拡散。一方、全体の熱量(カロリー数)は減っており、今回の個数削減の目的がいったい何なのかをめぐって話題となっている。そこで今回、山崎製パンに真相を聞いてみたところ「納得の新事実」が判明した――。
原材料や燃料の価格上昇を受けて広い範囲で大幅な値上げが進行中の日本。今月に入ってからも、食品やトイレットペーパー・ティッシュペーパーなどの日用品の販売価格が2ケタも値上げされるケースも珍しくない。昨年11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比3.7%上昇と、約41年ぶりの伸び率となり、当然ながら人々の家計を圧迫。総務省「家計調査」によれば、10月の食料への消費支出は実質ベースで前年同月比0.4%減となるなど、世帯が財布を絞っている様子がうかがえる。
そんななか、「ランチパック」や「ミニスナックゴールド」「ナイススティック」「ダブルソフト」など数多くの定番人気商品を持つ大手食品メーカーの山崎製パンは、「薄皮シリーズ」の計7種の内容量について、これまでの5個から4個に削減すると発表。さっそく今月出荷分から適用されているのだが、あるTwitterユーザーが「薄皮つぶあんぱん」の5個入りと4個入りの商品の総重量を測ったところ、それぞれ207g、206gで「ほぼ同じ」だったと投稿。一方、包装紙に記載された栄養成分表示によれば、熱量の合計は635キロカロリーから532キロカロリーに減量。熱量は減っているものの総重量が減っていないのであれば実質値上げではないのではないかという声や、そもそも何のために個数を削減したのか、コスト削減効果は生じるのかといった疑問が寄せられる事態に発展している。
標準設定では約1割減だが……
そこで今回、山崎製パンに取材した。まず、このTwitter投稿者が5個入りと4個入りの総重量を計測したところ、同じ結果になったという現象について、山崎製パン広報担当は次のようにいう。
「今回の個数削減に際し、1個当たりの満足感とおいしさのアップを図り商品のリニューアルを行っており、標準設定では4個の総重量が5個入りのときから約1割減るようにしております。焼く前の生地やあんこの重量が均一でも、工場やオーブンなどの機械設備の違いにより水分減少率の違いが生じたりするため、焼きあがった状態では重量について個体差が生じることがあります。そのため、5個入りの商品に一個当たりの重量が少なめのパンが集まり、4個入りの商品に重量が多めのパンが集まった結果、今回の投稿者の方が指摘されるように全体の総重量がほぼ同じになったのかもしれません」
ちなみに今回の実質値上げの理由はなんなのか。
「昨年に1度、原材料である小麦粉の価格上昇に伴い値上げを実施しておりますが、今回は油脂類や砂糖類の価格上昇、エネルギーコストの上昇によるものです。弊社としましては、引き続きお客さまに喜んでいただける製品を提供するよう努めてまいります」(同)
未曾有の原材料価格上昇を受けた食品メーカーの試行錯誤がうかがえる。
(文=Business Journal編集部)