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最大で食器6枚…パナソニック、賛否両論「一人暮らし用」食洗機が断然買うべきな理由

取材・文=文月/A4studio、安蔵 靖志/IT・家電ジャーナリスト
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パナソニックの食器洗い乾燥機「SOLOTA」(同社のHPより)

 日々、多忙な一人暮らしのビジネスパーソンにとって、食器洗いは後回しにしてしまいがちな家事ではないだろうか。そんな忙しいビジネスパーソンたちに向けて、2月にパナソニックが一人暮らし用の食器洗い乾燥機SOLOTA」(ソロタ)を発売し、話題になっている。サイズは310×225mm、使用水量は2.5Lと一般的な食洗機に比べコンパクトなものだが、キッチンの面積をさほど占領せず、取り付け工事も必要ないことから一人用にぴったり。高温高圧の水流で最大6枚の食器を洗うことができ、そのまま乾燥、保管が可能となっている。

 価格は3万7620円(税込み、以下同)で、月額1290円のサブスクリプションサービスもあるので、お試しで使ってみることもできる。しかも、サブスク利用中の買い取りも可能となっており、使用期間が長くなれば値段も安くなるとのことで、気に入った時点で購入できるというのが本製品のポイントのひとつだ。

 しかし、「ちょうどこんな製品がほしかった」と評価する声がある一方、「手洗いのほうがよく落ちるはず」「一人暮らしなら手洗いでも食洗器でも手間はそんなに変わらなそう」と否定的な意見も続出している。そこで今回はIT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏に、SOLOTAの客観的な評価や、買うべきかどうかを聞いた。

使用済み食器を十分に洗える、申し分ない実力

 まずSOLOTAの食洗機としての実力を確認してみたい。

「結論から申し上げると、小型サイズでありながらも洗浄力は抜群なので、専門家としておすすめしたい製品。食洗機は『買うと後悔するランキング』の上位にランクインしやすい家電なのですが、SOLOTAは『買い』ですね。試しにカレーや納豆を食べた皿を中に入れても、汚れを残らず落としてくれましたし、米粒もきれいに取れていました。洗浄から乾燥まで2時間ぐらいかかるものの、基本的に水と洗剤を入れるだけですし手間もかかりません。一度の対応枚数が6枚までという制約はありますが、そもそも一人暮らしであれば3食分でも6枚以下になりそうですし、必要であれば何回も分けて洗えばいいので、あまりネガティブにとらえる必要はないかと思います。

 またファミリーサイズの食洗機だと、噴射口から発射される水が当たらないポイントができてしまい、汚れが落とせないことがあります。しかし、SOLOTAはサイズが小さい分、水を当てやすい形状になっていますし、よほどひどい汚れではない限りしっかりと洗い流してくれるので優秀です」(安蔵氏)

 一般的な食洗機だと、サイズが大きく一人暮らしの人が住むワンルーム、1Kの部屋では設置するのが難しかったそうだが、SOLOTAはそんな悩みも解消しているという。

「SOLOTAのサイズ感でしたら、一人暮らしの人が住む狭いキッチンでも気軽に置けますし、タンク式を採用しているので工事不要というのも心理的ハードルを下げてくれるでしょう。あとは個人的にデザインも秀逸だと感じました。SOLOTAは、前も後ろもクリア窓を採用しているので、洗っている様子を確認することができます。何より狭いキッチンに置いても圧迫感が少ないので、一人暮らしの狭くて殺風景なキッチンにも馴染むデザインになっていると思いますね」(同)

批判する前にまずは月額1290円からのサブスク

 そんな本製品をパナソニックが販売した背景には、これまで食洗機市場が注目していなかった単身者世帯を開拓しようとする狙いがあるという。

「食洗機というと、従来は家族3、4人分の食器を洗うことができるファミリー向けの大型食洗機が多く、さらに工事が必要な分岐水栓型のものが主流でした。しかし近年では、水を溜めるだけで洗浄できる工事不要のタンク式食洗機がトレンドになりつつありました。そこでパナソニックは、タンク式の流れを汲んで従来開拓できていなかった一人暮らし層に目を向けたわけです。

 SOLOTAのメインターゲット層は、20~30代の一人暮らしで、自炊はあまりせず、中食メインで食事を済ませるような人々。特に仕事が忙しく、食器をシンクに積み重ねたままにしてしまう人は、家事をやる暇がないため食洗機を重宝するはずだとパナソニックは考えたのでしょう」(同)

 さらにパナソニックには将来への投資という意図もあるという。

「ユーザーが若いころから食洗機の便利さに気づいてくれれば、その後の人生において、たとえば結婚して家族が増えても、またパナソニックの食洗機を利用してもらえる可能性が高まりますよね。食洗機の提案というのは、面倒だった家事を自動化できる、いわばライフスタイルの転換のようなものであり、パナソニックとしても将来的なお客の確保のために一人暮らし層に切り込んだ側面もあると考えられます」(同)

 便利なSOLOTAだが、一方で「一人暮らしで食洗機を使う必要はない」といった否定的な意見も見かける。

「もちろん手洗いがまったく苦じゃない人や普段自炊をよく行う人からすれば、別に食洗機を使わなくてもいいと思います。ただ否定的な意見を主張する人のなかには、実際には食洗機を使ったことがないという方もいらっしゃるでしょう。『使ってみると便利だった』という体験をして、メーカー側が意図するようにライフスタイルが変わったというケースは珍しくはありません。

 ですから食洗機を使用したことがないけれどSOLOTAに否定的という方々は、一度サブスクで試しに使ってみてから存分に批判すればいいのではないでしょうか。こういったサブスクサービスは、すぐに解約されてしまったらその製品は中古扱いとなってしまうので、実はパナソニックにとってかなりリスキーな戦略です。しかし逆に考えると、それだけパナソニックがSOLOTAにかなり自信があるのだろうということがうかがえます」(同)

 SOLOTAがあれば、一人暮らしでもわずらわしい食器洗いから解放され、ライフスタイルがアップデートされるかもしれない。

(取材・文=文月/A4studio、安蔵靖志/IT・家電ジャーナリスト)

安蔵靖志/IT・家電ジャーナリスト

安蔵靖志/IT・家電ジャーナリスト

家電製品総合アドバイザー、スマートマスター、AllAbout家電ガイド。ITや家電 に関する記事執筆のほか、家電の専門家としてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演

Twitter:@https://twitter.com/anzou

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