回転ずしチェーン大手の「スシロー」は、奈良県で人気のラーメン店「麺屋NOROMA」とコラボした「鶏そば」を期間限定で販売しているが、NOROMAグループ代表がX上で、監修したものと店舗で提供されている商品が「別物」だと苦言を呈し、大きな話題になっている。
スシローは10月2日から14日までの期間限定で、「麺屋NOROMA」とコラボした「鶏そば」を販売している。NOROMAは奈良県内でもっとも有名なラーメン店のひとつ。鶏そばをはじめとして鶏白湯スープを使った塩ラーメンやつけ麺などが人気で、グルメサイト「食べログ」でも県内ラーメン店のなかで抜群の評価を得ている。お取り寄せも可能で、名店の味を楽しみたい遠隔地に住むラーメンファンは、ネット上で購入して自宅で堪能している。
そんなNOROMAが監修した鶏そばがスシローで食べられるとあって、ネット上では注目を浴びていた。NOROMAの公式インスタグラムでも宣伝しており、早々にファンはスシローに足を運んだようだ。コラボキャンペーンが始まると、NOROMAグループ代表の高岡利光氏も自身のXで宣伝。
「全国のスシローさん@akindosushirocoにて 麺屋NOROMA 監修の鶏そばが 本日より10月14日の期間数量限定で提供させて頂きます。むちゃくちゃ嬉しいです。是非ともご賞味ください。お店の味をそのまま再現している自社通販やnoroma-japan.net 奈良市ふるさと納税でもお店の味をそのまま再現している商品を購入して頂けます。furusato-tax.jp/product/detail… 売れ行きが良ければ海外でも検討してくださるみたいなのでその時はスタミナらーめんでやりたいな。 皆様宜しくお願いします。 食べくらべも宜しくお願いします」
監修した品と別物が提供されていると怒りの告発
自社の鶏そばを広く知ってもらえる機会になると期待しつつ、売れ行きによっては海外展開もあり得ると先を見据えていた。だが、10月8日に高岡氏はXでスシローに苦言を呈する投稿を行った。
「僕が監修したのはレアレアチャーシューでもないし、スープこの色ですよ。どこでオリジナリティー出してるんですか? 写真と別物出てますやん。盛り付けもやっつけ仕事で残念です。レアレアチャーシューやめてほしい。スープまぜてからきちんと提供してほしい。飲食店として少し程度低すぎますよ。食中毒とかなればギャグですよ。厳重注意しときます。らーめんは作り手でかなり味かわります」
監修したものやメニューに掲載されている写真と、実際に提供されている商品に大きな乖離があるとして、怒りを前面にあらわした。これに反応するように、実際に店舗で鶏そばを食べた方々から、店舗で提供された写真がX上に投稿された。
高岡氏は9日に、「味に関しては自分にももちろん落ちどはありますがやることやって頂き味の評価をして頂きたかったです。ワンコインで寿司に合う麺屋NOROMA の雰囲気が出せた鶏そばだと思い自信を持ってやらせて頂きました。 お口に合わなかったお客様申し訳ありませんでした」と投稿し、スシローには自身が監修したとおりの味でお客に提供してほしかった、と残念がった。
続けて、ファンが投稿した多くの画像を見て、生のチャーシューが載っているのに驚き、スシローに抗議の電話したところ、「きちんとした加工でしているので問題ない」と回答があったと明かしつつ、「僕は確実に下記のような火が通ってないチャーシューは食べない方がいいと思います」と、消費者に向けて注意喚起。そのうえで、「スシローさんと僕の意見、わかれてますが本日スシローさんと話合いの場をもうけて頂きましたので、下記画像のようなレアレアチャーシューを保健所に持っていかせてくれとお願いしてみます。 危機感のなさに驚きます」と述べ、スシローの対応に不信感をのぞかせた。
これから高岡氏とスシロー側で話し合いがもたれるということで、今後、このコラボ企画がどうなるかは不透明だ。現在、Business Journal編集部はスシローに問い合わせを行っているが、現時点で回答はない。回答があり次第、追記する。なお、高岡氏に事実確認を含め問い合わせたところ、「スシローさんとの監修商品等についてはXにて発信している事が全てですのでこれ以上お話する事はありませんのでご了承ください」との返答だった。
スシローといえば、ここ数年、炎上騒動が続いている。2022年には前年に行ったキャンペーンの商品が完売しているにもかかわらずテレビなどで広告を出し続けていたことが景品表示法違反(おとり広告)に当たるして、消費者庁から措置命令を受けた。
また、2022年7月にはビール半額のキャンペーン期間外にもかかわらず、キャンペーンが始まっているかのようなポスターを店内に掲示し、ビールが半額になっていると勘違いして注文した客からX上に苦情があり、注目を浴びた。さらに同キャンペーン中には、開店直後にもかかわらずビールが売り切れていた、との報告もあり、再びおとり広告を行っているのではないか、と大きな騒動になった。
飲食店で、漫画やアニメ、人気タレントなどとコラボすることは珍しくない。また、その際に元のキャラクターなどのファンから一定のネガティブな反応が出ることもある。しかし、飲食店同士がタッグを組んでコラボメニューを開発し、それが炎上することは極めてまれだ。しかも、コラボ相手から苦情が出るというのは異常事態といえる。スシローは「品質に関しては基準に則った調理を行った商品を使用している」として、食中毒の心配はないとの見解を示しているが、コラボ相手に対しての敬意を欠いた商品を客に提供していたことについては、どのように説明するのだろうか。
(文=Business Journal編集部)