まだ春先だというのに、自動車業界が色めき立った。というのも、1975年に誕生し、これまで6世代にわたって伝統を守り続けてきた独BMWの「3シリーズ」がフルモデルチェンジを敢行し、新たなステップを踏んで日本市場に投入されたからである。
3シリーズのこれまでの世界販売累計は1500万台以上。世界各地で愛されてきた、BMWの屋台骨である。そのため、BMWの力の入れようは半端なレベルではない。新型は基本性能を高めながらも、先進技術を余すことなく投入。世界自動車業界のベンチークの座に君臨にすべく、大幅な進化をして誕生したのだ。
基本的なフォルムは、これまでを踏襲している。デザイン細部には新しい試みが散見されるが、紛れもなく3シリーズであることは、見た瞬間にわかる。
だが、サイズは大幅に拡大した。全長が70mmも伸びた。全幅も25mm拡大。その内訳は、前後のタイヤ間の距離、つまりホイールベースは40mm延長した。左右のタイヤ間の距離、つまりトレッドはフロントが43mm、リアが21mm広がっているのだ。ちょっと前の「5シリーズ」を思わせる体格となった。
ただ、ホイールベースが長くなったことで懸念される運動性能は、悪化していない。というより、さらに磨きがかかった印象なのだ。前後に長くなった分、左右にも広がっている。それによって、ホイールベースとトレッドの比率は、1.75に抑えられている。運動性能を悪化させる懸念はない。
ボディの拡大は、ボディを構成する金属やガラスを多用することになりがちだが、3シリーズは、逆に55kg(欧州仕様設計値)のダイエットに成功しているというのだから恐れいる。
そのため、パフォーマンスも秀でている。搭載されるエンジンは2タイプ。といっても、直列4気筒2リッターツインターボの「B48B20B型」ユニットのみの設定。その1ユニットをベースに、大小のパワーに分けているのだ。
「320i」に搭載されるエンジンは、最高出力184ps、最大トルク300Nmである。一方の「330i」には、それぞれ258psと400Nmのユニットが積み込まれる。一般的にグレードの高低は、排気量の大小とイコールであることが多い。だが3シリーズは、パワーの大小で差別化を図っているのが特徴だ。