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木下隆之「クルマ激辛定食」

ボルボの電動化が加速!激烈パワーのエンジン&アクセルオフで異様に強い減速力

文=木下隆之/レーシングドライバー
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ボルボの電動化が加速!
ボルボXC40(ボルボ・カー・ジャパン公式サイトより)

 ボルボの電動化の勢いが止まらない。コンパクトSUV「XC40/C40」の2023年仕様の投入を機に、BEV(バッテリー・エレクトリック・ヴィークル)をさらに充実させたのである。

 ボルボが積極的な電動化を宣言し、XC40のBEVを発表したのは2019年のこと。そして実際に、そのクルマが走り出したのは2022年だ。それなのに、2025年までボルボがグローバルで販売する半数のモデルをBEVにするというのである。残された猶予は、あと3年。

 さらに驚かされることに、2030年にはすべてのクルマをBEVにするという。猶予は8年。3年で50%、8年で100%だ。わずか8年後にボルボは、ハイブリッドを含めてすべての内燃機関から決別し、テスラ同様、電気自動車専用メーカーになるというのだから信じられない。

 確かに、世界はカーボンニュートラルに向けて大きく舵を切っている。地球温暖化の抑制のために、走行中に一切のCO2を排出しないBEVが救世主としてもてはやされている。特にボルボの祖国であるスウェーデンは、早くから電動化を推進してきた。BEVの税金を抑え、補助金を拡充させたほか、BEVのみ優先的に走行可能な高速道路をつくるなど、ガソリンモデルとの格差を国策的に広げてきた。その効果もあって、BEVの販売比率は高い。

 だが、世界のすべての国が盲目的EV信仰を歓迎しているわけではない。BEVとて生産時から廃棄までの過程においてCO2を多少ならず排出している上に、走行中に必要な電力をバッテリーにチャージするための、そのコンセントの先には化石燃料の燃焼があるからだ。

 たとえば、東京電力のメルトダウン事故の傷跡が癒えず、太陽光や風力を活用した再生可能エネルギーの施策が遅れている日本では、BEV化は進まない。ただし、日本でも2025年にはBEVの販売比率45%を目指すという。保守的な日本市場のBEV率は2022年時点でまだ1%だというのに、である。

 日本にいると、その計画が障害なく達成されるとは到底思えないが、ボルボの電動化戦略は驚速で進められているのだ。

 今回2023年モデルとなり、BEVのパワーユニットは2タイプになったFF駆動のシングルモーターとAWD駆動のツインモーターだ。シングルモーター仕様は、最高出力170kW(231ps)、最大トルク330Nmを発生する。資料によると、0-100km/hの発進加速は7.4秒とされている。十分に力強い。低速域ではアクセルペダルの床踏みをためらわせるほどパワフルなのだ。

 一方のツインモーターは、最高出力300kW(408ps)、最大トルク660Nmを発揮する。0-100km/hはシングルモーターの7.4秒を大きく短縮する4.7秒だという。シングルモーター仕様でも十分に力強いのだから、パワーが増強されたツインモーター仕様の加速力は、もはや過剰すぎると思えるほどに激烈なのだ。

 特徴的なのは、ワンペダル感覚が強いことだ。アクセルオフでここまで強い減速感が得られるのは異例である。アクセルを急激に抜くと、ガクッと首が倒れそうになるほど減速Gが発生する。感覚的には、エンジンブレーキの5割増しである。そのままにしていると、完全停止する。日産自動車のそのシステムのように、減速力の強弱を選択することはできない。

 この潔さが、ボルボの電動化宣言の狼煙のように思えた。

(文=木下隆之/レーシングドライバー)

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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