12年4~9月期決算は、売上高が前年同期比5.9%増の約1582億円、本業の儲けを示す営業利益は同19.5%増となる約134億円と2ケタの営業増益となった。営業利益が会社の予想を10億円上回った点が好感された。
営業増益の原動力になったのは、袋入り即席麺「マルちゃん正麺」だ。累計出荷数が、11年11月の発売から約1年で2億食を突破、売り上げで200億円なり。年間販売目標を1億食としていたが、予想を大きく上回った。「マルちゃん正麺」の爆発的ヒットで株価はそれまでの2000円台を抜け出してきた。
袋麺というと、油で揚げた乾麺が主流だったが、「マルちゃん正麺」は生麺を一度ほぐして乾燥させる新技術「生麺うまいまま製法」を採用。乾燥麺でありながら、なめらかさとシコシコした新食感が味わえ、人気となった。
同商品は、発売約7カ月後の今年6月には年間販売目標の1億食を達成した。あまりの売れ行きに、一時は品薄状態が続き、5月から群馬工場で1ラインを増設して、合計2ラインでの生産体制(日産60万食)を築き、販売目標を2億食に倍増させた。8月に醤油味に加えて塩味がラインアップに加わったことでブランド力がさらに強化され、発売から1年間で当初目標の倍の2億食を売り上げた。
さらに来年、供給体制を強化するため、約15億円を投資して3ライン目となる新ラインを増設する。着工時期は12年末または13年初頭の予定。来年11月までの1年間で3億食(300億円)の販売を目指す。「マルちゃん正麺」の大ヒットで、鼻息はめっぽう荒いのである。
袋入り即席麺は72年に年間で37億食を売り上げていた。だが、1年さかのぼる71年にカップ麺が登場してからは減少をたどり、現在は18億9500万食だ。袋麺は3000万食・30億円売ればヒットといわれる世界なのだから、2億食は久々の爆発的なヒットである。
元祖の「チキンラーメン」(日清食品)と「サッポロ一番」(サンヨー食品)という2強が半世紀にわたり君臨し、ほかのメーカーは太刀打ちできなかった。
東洋水産はカップ麺では「赤いきつね」「緑のたぬき」というヒット商品があるが、袋入り麺では2強の後塵を拝してきた。
手をこまねいていては何も生まれない。新しい袋入り麺の開発に取り組み、完成させた製品に「これこそが正しい麺」との自負を込めて「正麺」と名付けたという。