フリーマーケット(フリマ)アプリ大手のメルカリの2019年1月~3月期の連結決算は、売上高が前年同期比39%増の135億円、営業損益は23億円の赤字(18年同期は4億円の黒字)、最終損益は28億円の赤字(同3億円の赤字)だった。 18年6月の上場以来、4半期連続で赤字となった。
その結果、19年6月期第3四半期(18年7月~19年3月期の累計)では、売上高が前年同期比43%増の373億円と増収となったが、営業損益は59億円の赤字(前年同期は18億円の赤字)、最終損益は73億円の赤字(同34億円の赤字)と、赤字幅が拡大した。
1~3月期の赤字の原因は、米国のフリマアプリ事業と、19年2月にサービスを開始したスマホ決済「メルペイ」だ。“双子の赤字”である。
米国事業の流通総額は1億300万ドル(約110億円)と7割伸びたが、それでも目標の月間1億ドルに届いていない。決済サービス「メルペイ」は先行投資がかさんだ。「事業の立ち上がりは非常に順調」(長沢啓最高財務責任者)としており、メルペイの投資を続ける考えだ。
先行投資の重い負担を支えるべく、国内メルカリ事業は奮闘している。国内では月間利用者数が1299万人と26%増えた。流通総額は1330億円と42%増えた。利用者数の伸びより流通額の伸びのほうが大きい。売上高は121億円と前年同期比34%増。しかし、営業利益は20億円と同32%減った。メルカリの決済機能をメルペイに移管したことが大きく影響しており、これを除けば「営業利益は前年同期とほぼ同じ水準」としている。
19年6月期(通期)の売上高は500~520億円となる見通し。国内のメルカリ事業の通期売上高は450~470億円、流通総額は前年比で40%以上増加すると予想している。
新規事業の立ち上げや育成に向けた先行投資を続ける方針。米国のメルカリ事業とメルペイに資金を集中しており、今期は50億円を両事業におよそ半々の比率で投下した。3月末の手元資金は968億円あり「投資を続ける余裕はある」と説明している。
「メルペイ」は先行組を猛迫
メルペイは2月13日にサービスを開始した。ソフトバンクとヤフーが合同で運営するペイペイや楽天ペイ、LINEペイなどネット系各社のほか、銀行、通信、流通系などから新規に参入しており、メルペイは最後発だ。
他社のスマホ決済サービスは、決済のために新たにアプリをダウンロードして、前もって銀行口座を登録。登録した口座からアプリの口座にチャージ(入金)できるようにする手続きが必要になる。
メルペイはメルカリアプリの中にコンビニエンスストアや飲食店などで決済できる機能を持たせた。フリマの売却代金やポイントを使って決済できるほか、銀行口座とつなげばフリマで商品を売却した代金を使わなくても決済できる。