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そこには、利益をビッグに見せかける目的のためには「手段を選ぶな」「死守せよ」「必達せよ」という経営者のメッセージがある。トップの「なんとかしろ」という鶴の一声で、社員は何をやったか。費用の過少計上や支払いの計上先送りであり、売り上げの過大計上である。その裏には短期業績主義、数字至上主義、目標達成絶対主義という風がごうごうと吹きまくっている。
経営者が自分の立場の保全や保身に走り、短期目標のためには手段を選ばないという愚行に走った時に、140年かけて営々と築いた信用と信頼は一夜にして瓦解する。社員の人心は崩壊し、ステークホルダーからの信頼は失墜する。
「魚は頭から腐る」というロシアの諺がある。
経営者が倫理観を失い(または初めからなく)、ガバナンスやコンプライアンス、さらには道義や道徳とは無縁の短期数字至上主義という病気にかかると、会社も重病になる。
「なんとかしろ」という言葉は、そっくりそのまま最近の東芝の経営者に贈りたい科白である。
(文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長)
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