そのロッテグループの最大の暗部と指摘されているのは、株式によるその支配構造である。韓国に進出した当時のままの株主構造が温存されているが、これを問題にしたのが韓国政府だ。チェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部長官は、同社の不透明な支配構造や資金の流れを厳しく調査する方針を示した。公正取引委員会と金融監督院は同社に対し、支配構造に関連した資料の提出を要求した。
韓国ロッテグループを実質的に支配している日本のロッテHD。その大株主であるL投資会社や光潤社も日本の企業で株式を公開していないため、株式の保有形態やそれぞれがどのようにつながっているか、皆目わからない。韓国当局の調査の手が、これまで及ばなかったのだ。韓国政府は、一族の争いをやめて不透明な支配構造の改善に主体的に努めるべきだと、圧力をかけ始めた。
実態不明な大株主
韓国メディアの報道を総合すると、ロッテの支配構造はこうなる。
頂点に立つのは、重光武雄氏が代表を務める一族の資産管理会社、光潤社。同社はロッテHDの株式を27.65%保有している筆頭株主だ。韓国ロッテグループの持ち株会社の機能を果たしているのはホテルロッテだが、同社の最大株主は日本のロッテHDである。
「ホテルロッテの今年3月末の事業報告書の株主構成を見れば、日本のロッテHDが19.07%で最多を保有。日本のL投資会社、11社が合わせて72.65%、日本の光潤社が5.45%、日本の株式会社ファミリーが2.11%。釡山ロッテホテルは0.55%、ホテルロッテの自己株式が0.17%」(7月31日付韓国ハンギョレ新聞日本語版)
韓国ロッテグループ株式の99.28%を日本側が独占しているという実態が浮かび上がってくる。中でも関心を集めているのが、L投資会社だ。L第1投資会社からL第12投資会社まで12社あり、ホテルロッテにはこのうちL3を除いた11社が出資し、計72.65%を保有している。韓国ロッテグループを実質的にコントロールしているのが、L投資会社ということになる。
しかし、L投資会社の実態は不明だ。韓国に進出した当時の事業会社を分社化して日本に本社を移し、社名を変更して日本の会社にした。韓国ではグループ企業の財務担当者でさえ、どういうことをやっている会社なのか、まったく知らないという。