L投資会社12社は、武雄氏が借名(他人名義)で保有する特別目的会社ではないか、と韓国メディアは推測している。L投資会社がこの数年間に、韓国ロッテ系列の会社から受け取ってきた配当金は数百億円に上り、武雄氏一家の財布の役割を果たしたと韓国メディアは指摘した。
循環出資
韓国ロッテグループの「循環出資」(株式の相互持ち合い)と呼ばれる出資構造は、複雑怪奇というしかない。報道によると、公正取引委員会の調査で2013年4月1日現在、合計43個の環が形成されていることが判明したという。
日本側が99%以上出資しているホテルロッテは、ロッテ系列会社42社の株式を保有しており、これによって韓国ロッテグループの持ち株会社としての機能を果たしている。ホテルロッテは事業会社の中核であるロッテショッピングに8.3%を出資。ロッテショッピングはロッテ製菓やロッテ七星飲料などと相互に株式を持ち合っているといった具合に、循環出資の環が広がっている。
ホテルロッテの実質筆頭株主であるL投資会社は、ロッテロジスティクスの株式の45.34%、ロッテアルミニウムの34.92%、釜山ロッテホテルの53.38%を所有している。ロッテグループの支配構造の頂点にある光潤社は、ホテルロッテに5.45%、釜山ロッテホテルに6.83%、ロッテキャピタルに1.92%出資している。ロッテHDはホテルロッテ(持ち株比率は19.07%)のほか、ロッテケミカルの9.3%の株式を保有している。
お家騒動をきっかけに、巨大なロッテ財閥を実質支配しているのが日本企業であることが明らかになった。
進む韓国当局の捜査
韓国政府から不透明な支配構造の改善を求められた韓国ロッテグループの昭夫会長は8日11日、ソウル市内で記者会見し、改善策を明らかにした。同社の持ち株会社であるホテルロッテに対する日本側の出資を減らすために、同社を来年までに韓国で上場させる。グループの循環出資の80%を年内に解消し、中長期的には持ち株会社体制に転換する。持ち株会社転換には、7400億円を超える資金が必要だという。
だが、ホテルロッテを上場させても、L投資会社が筆頭株主であることに変わりはない。昭夫氏がL投資会社の代表取締役に就いたことが、ロッテHDの株主総会で昭夫氏が勝利した原因だと、韓国メディアは分析している。一族の資産会社である光潤社とL投資会社の株主構成は、依然として不明のままである。公正取引委員会、金融監督院の調査、さらに韓国国税庁が行っているロッテ系列会社への税務調査などで、L投資会社の実態にメスが入るものと期待されている。