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東京モーターショー、存亡の危機…海外メーカー一斉に出展見合わせ、中国のショー重視に

文=河村靖史/ジャーナリスト
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東京モーターショー2017 展示内容を報道陣に公開(写真:つのだよしお/アフロ)

 

 隔年で開催されている日本の自動車業界最大のイベントである「東京モーターショー」が、存亡の危機に立たされている。「費用対効果が得られない」として海外自動車メーカーが相次いで10月開催の同ショーに出展しない方針を決定しているためだ。

 主催団体である日本自動車工業会(自工会)の会長を豊田章男トヨタ自動車社長が務めていることもあって、顔を潰されたかたちとなったトヨタは仕返しとばかりに、ドイツで開催されるフランクフルトモーターショーへの出展を取りやめる。自動運転や電動化で自動車産業が大きく変化するなか、モーターショーもそのあり方が大きく変わろうとしている。

費用対効果

 自工会は5月13日に開いた記者会見で、10月24日に開催する「第46回東京モーターショー2019」の出展会社などの詳細を発表する予定だったが、直前になって取りやめた。海外自動車メーカーの出展申し込みが少ないことから、出展を再検討してもらうためだ。しかし、その後、フォルクスワーゲン(VW)、アウディ、BMW、PSAグループ(プジョー・シトロエン)などが相次いで出展しない意向を正式に表明した。

 海外の主要ブランドで出展するのは、輸入車の業界団体である日本自動車輸入組合の理事長を日本法人のトップが務めるダイムラー(メルセデス・ベンツなどを所有)と、日産自動車のグループ会社が輸入権を持つルノーぐらい。国際モーターショーにもかかわらず東京モーターは事実上、国内モーターショーに成り下がる。

 東京モーターショーは1954年に開催されて以来、半世紀以上にわたって、自動車産業の最新モデルや技術を紹介する国内最大級のイベントとして開催されてきた。特に自動車メーカー数が多く、日本の基幹産業となっているだけに東京モーターショーは世界的にも注目され、ピークには来場者数が200万人を超えた。

 しかし、日本の自動車市場が成熟して需要が伸び悩むなか、まず米国自動車メーカーの一部が出展を取りやめた。もともと日本市場は輸入車市場が小さいが、なかでも米国車のシェアは低く、成長は見込めないためだ。

 さらに中国の自動車市場が成長したのを受けて、欧米の自動車各社は上海と北京で毎年交互に開催される中国のモーターショーに力を入れるようになり、同じアジアにある東京モーターショーの地盤が沈下していった。それでも日本の輸入車市場でシェアの高いドイツ系自動車メーカーは出展を続けていたが、ここにきて東京モーターショーの出展見直しが相次いでいる。

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