吉本興業、芸人の復帰“潰し”、当日の取材NGにしていた…記者「吉本は腐りきってる」

　闇営業問題で謹慎処分を受けていた11人の吉本興業所属芸人。そのなかでスリムクラブやくまだまさしなど一部芸人が19日、ルミネtheよしもと（東京）でステージ復帰した。

　一連の騒動では、吉本が約6000人にも上る所属芸人と書面での契約書を取り交わしていないことなども問題視されたが、先月24日には公正取引委員会の山田昭典事務総長が「契約書面が存在しないということは、競争政策の観点から問題がある」と発言。吉本は8日、新たに設置した経営アドバイザリー委員会の初会合を開き、「所属する全芸人と『共同確認書』という書面の契約を結ぶ」「従来のマネジメント契約に加えて新たに『専属エージェント契約』を導入して、芸人が2つの契約形態から選べるようにする」と発表した。

　しかし、マスコミ業界内では「表向きの“改革宣言”とは裏腹に、吉本には反省と改善の兆しがまったくみられない」（テレビ局関係者）という声も聞かれる。

　先月末、吉本が芸人養成所・NSCの合宿参加希望者に、「合宿中の負傷、これに基づいた後遺症、あるいは死亡した場合、その原因を問わず吉本興業に対する責任の一切は免除されるものとする」との免責事項が記載された宣誓書への署名・提出を求めていたことが判明。問題発覚から2週間が経過した今月16日になり、「弊社の過失により、損害賠償の全部免責事項を記載したものを使用していたことが判明いたしました」と見解を発表した。さらに、詐欺グループへの闇営業を行っていた吉本芸人が消費者支援団体に寄付をしていた件について、NSCの規約問題を受けて支援団体から8月5日付で寄付金が返納されたことも発表した。

「NSCの誓約書の件は、第一報が報じられてから正式な謝罪まで2週間もかかった。さらに寄付金返納についても、返納から10日以上たっての公表となりましたが、返納した団体が発表したことを受けてのもので、もし団体が公にしていなかったら、果たして吉本は発表していたのかは疑問です。

　そもそも闇営業問題は、吉本が事実を把握したにもかかわらず、宮迫博之と田村亮の謝罪会見をいつまでも行わなかったことが事態を悪化させた。にもかかわらず、相変わらず対応のスピードが遅く、まったく反省の色がみえません」（テレビ局関係者）

　吉本は今月9日、謹慎処分を受けていた11人の処分を同19日付けで解除すると発表したが、復帰をめぐってもマスコミの間で吉本への不信感が募ったという。

「19日、謹慎が解除となる芸人たちがルミネtheよしもとの舞台に上がることが発表されましたが、当初、吉本は当日の劇場内での取材を一切拒否。動画やスチールでの撮影は受け入れないというのです。そのため、一般チケットを購入して客として入場し、その模様をリポートするかたちを取ろうとしていた媒体もありました。それでもマスコミは吉本に交渉し、なんとかスチール撮影のみはOKとなり、ようやく前日になり動画も含めて1社カメラ1台のみという条件付きで取材OKとなりました。

　結果的に劇場で観客たちに温かく迎えられ、笑いをさらう芸人たちの様子がテレビで流されたことで、芸人にとっては今後の本格的な活動再開に向けて良いかたちになりました。もし吉本が本当に芸人たちのことを考えていたならば、最初から取材拒否なんてしないはずです。吉本が掲げる“芸人ファースト”など、ただの戯言でしかありません」（別のテレビ局関係者）

　また、スポーツ紙記者は言う。

「吉本は謹慎していた芸人たちが復帰する19日をわざわざ選んで、社内改革について議論するために設置した経営アドバイザリー委員会の第2回をぶつけ、闇営業をした芸人の救済案が示されました。復帰の話題を薄めるためなのかどうかは知りませんが、小賢しさを覚えます。

　騒動発覚後から今に至るまで、吉本側とやりとりしてきたマスコミはみな、吉本が何も変わっていないということを身をもって知っています。やっぱり、現在の岡本（昭彦）社長体制は腐りきっていますよ。末端の社員たちがかわいそうです」（スポーツ紙記者）

　吉本に自浄作用を望むことは、難しいのかもしれない。

（文＝編集部）