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マックスむらい氏創業企業が上場 囁かれる不安要素 主幹事証券はgumiショックの野村

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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 3回の「負け」を分析すると、1回は売出株数が公募株数の2.7倍、1回は4.2倍、もう1回は公募株数はゼロながら売出株数が5404.9万株と、ケタ外れの多さだった。

 これは、売出株数が公募株数の7.34倍もあるAppBankに期待している投資家にとっては、気をもむデータだろう。7.34倍を超えるような新規上場は公募株数ゼロの2件とgumiを除けば10.53倍の1件(日本スキー場開発)しかなく、その初値は公開価格を9.94%上回っただけの辛勝だった。初値が辛勝だと、売るタイミングを逃すと売買手数料と税金を差し引くと儲けが出なくなり、含み損を抱えてしまうリスクが高まる。

 また、売出株数が多いと初値だけでなく、上場後の株価も低迷しやすい。売出株数が公募株数の2倍を上回った新規上場銘柄14件のその後を追跡してみると、上場時やその直後の高値を更新できないままジリ貧の道をたどった銘柄がgumiも含めて9件もある。初値が白星か引き分けでも、その後がジリ貧というパターンは8件だった。

「氷河期」とも呼ばれ、新規上場の後に株価が下がるのはある程度は仕方がないとはいえ、期待しながらジリ貧が長引けば、「やっぱり上場ゴールだったのか」と汚名を着せられやすくなる。

野村の意地

 AppBankの上場日は10月15日。その前の新規上場は実質的には9月17日で、約1カ月の間隔があいている。「飢餓感が好結果を生む」という見方もされているが、その後にとんでもない「大食漢」が控えていることを決して忘れてはいけない。

 11月4日の日本郵政(4億9500万株)、かんぽ生命保険(6600万株)、ゆうちょ銀行(4億1244万株)の郵政3社の新規上場は、政府放出の売出分だけで合計9億7344万株に達する。想定価格をもとにした資金吸収金額は約1兆3875億円と見積もられている。AppBankの資金吸収金額17.7億円は、その約784分の1にすぎない。海の生き物にたとえればクジラとイワシぐらいの差がある。

 そのクジラとイワシが20日(暦日)の間隔をおいて、新規上場銘柄を狙う投資家の資金という同じエサを奪いあうのだ。「いわくつきのイワシなんかパスして、クジラを狙いにいく」という投資家も、決して少なくないだろう。

 ゲーム業界の業績悪化や、公募株数に比べての売出株数がgumi並みで極端に多いことによる問題。郵政3社の上場直前でタイミング的にも良くない。それでも野村は85%の割当を受ける主幹事の意地とプライドにかけて、上場初日の初値は最悪でも「引き分け」に持ち込めるように準備を整えているだろう。gumiもGunosyも、結果的には引き分けに持ち込んでいる。

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