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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

椎名町の普通の旅館、なぜ外国人客に大人気?「ファミリーイン西向」の秘密!

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

 外国から来日して、日本製品を大量に購入して帰国する旅行者が増加しているが、これは国内企業にとってはビジネスチャンス。訪日客の国内消費をうまく促すことで、さらなる経済活性化への起爆剤にもなり得るだろう。

 政府は東京オリンピックが行われる2020年には、年間2000万人の訪日外国人観光者を目標として掲げている。外国人観光者はリピーター率も高いということなので、彼らの心をつかむマーケティングの方法は知っておきたいところ。そこで、立教大学経営学部教授・有馬賢治氏に、その方法について解説してもらおう。

お土産とスーブニールの違い

「訪日外国人観光者が日本で消費活動を行うことを『インバウンド消費』と言いますが、最近では『爆買い』などという言葉で世間から注目を集めていますね。彼らの消費傾向を見てみると、日本人からするとあまり一般的ではないものを購入するケースも目立ちます。例えば中国人には、現代の日本の家庭ではあまり目にしない、お茶くみ用の鉄瓶が人気です。中国では一般的な家庭用品ですが、やはり『メイド・イン・ジャパン』は質がいいということで、好んで買われているようです。つまり同じ商品でも日本人と諸外国の人々では、価値観が異なっている、ということを理解することが外国人の心を掴む上で重要な点の一つです。家族や友人のために買って帰ることが多い日本人の『お土産』の感覚と、外国人にとっての所謂『スーブニール』(記念品のニュアンスが強いお土産)は質的・量的な感覚も異なっており、自分自身のために買いたいという傾向が強いのではないでしょうか」(有馬氏)

 東京・浅草の仲見世通りには、多くの「外国人にとっては日本ならでは」の商品が並んでおり、訪日観光者には人気。そのほかにも、日本人がとても着ることのできないようなカタカナや漢字がプリントされているTシャツも、外国人にとってはこの上ない日本土産となっている。つまり、そもそも価値基準が違うのだ。

「大衆薬や化粧品、お菓子なども日本ブランドが武器となり、外国人には魅力的にうつります。これらは消耗品なので、一回の来日でできるだけ多くを購入しようと考えられているようです。例えば、お菓子なら一袋ではなく一ケースで買うなど、日本人とは消費のボリューム感が違います。大量購買が期待できるこの好機を逃さないためには、日本側がまとめ買いに対応する態勢を整えておくことが必要でしょう」(同)

 いわゆる「爆買い」の対象商品というと、電化製品などを想像しがちだが、訪日客からすれば日用品も同じくターゲット。単価が安い分、よりまとめて買ってくれたほうが日本の企業にとっても好都合と考えられる。

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