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鈴木貴博「経済を読む目玉」

テレビで高校クイズ選手権を見て、高視聴率番組のスゴく単純な共通点を見つけました

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

 今クール(10~12月期)の連続テレビドラマ『エンジェル・ハート』(日本テレビ系)の初回平均視聴率が12.5%(ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)と好発進だった。

 同じく日本テレビ系で2年前には視聴率が一ケタ台まで転落していた毎年恒例の『全国高等学校クイズ選手権』は、今年9月11日の放送回では12.6%にまで回復した。さらに同局系のこの夏の連ドラ『デスノート』が12%を達成。途中で視聴率を落としたが『ど根性ガエル』も初回は13.1%と健闘した。

 視聴率が取りにくい時代に、二ケタを取るのは至難の業だといわれている。しかしこれらのような番組を見ていると、視聴率がいい番組にはある単純な共通点がある。計算式で書くと「6+6=12」という小学生でもわかる数式だ。

 どういうことかというと、どんなにいい内容の番組でも1つの世代の視聴者にフォーカスした番組は6%の視聴率しか取れないが、2つの世代が興味を持ってくれれば「6%+6%」で12%の視聴率になる。

 複数の世代を意味するマルチジェネレーション。略して「マルジェネ」と筆者が勝手に名付けているのだが、マルジェネが興味を持つ番組は視聴率が加算されやすい。

『高校クイズ選手権』

 そこでわかりやすい事例が、前述した高校クイズ選手権だ。高校生の夏の風物詩として全国のクイズ好きの高校生が頂点を目指す、今年で第35回にもなる長寿番組だ。ところがこの番組には、テレビ番組としては致命的な欠点がある。高校生には圧倒的な人気があるけれども、高校を卒業した視聴者は(クイズ研関係者を除くと)急速に興味を失ってしまうのだ。高校生が熱狂する一方でそれより上の視聴者がついてきていないことで、数年前まで視聴率はやや低迷気味だった。

 そこから視聴率を持ち直した今年の放送がどんな内容だったかというと、全国の予選を勝ち抜いた60の出場校の中から、スタジオでの本選を勝ち抜いた12校がグアムへ進出する。そしてグアムでは○×のどろんこクイズ。勝ち抜いたチームはロサンゼルスに移動してさらにクイズに挑む。敗者はなぜかラスベガスに移動してそこで敗者復活。そのようにアメリカを横断しながら勝ち抜いた3校が、最後はニューヨークにある自由の女神の正面の船上で決勝の早押しクイズ。

 そう。今年の内容は私たち40~50代の視聴者には懐かしい『アメリカ横断ウルトラクイズ』と同じフォーマットのクイズ番組の高校生バージョンなのだ。今回、あの懐かしい『ウルトラクイズ』が現代によみがえったような番組構成だったため、40~50代の視聴者もついつい最後まで見続けてしまったようだ。

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『日本経済復活の書』『日本経済予言の書』(PHP研究所)、『戦略思考トレーニング』シリーズ(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。
百年コンサルティング 代表 鈴木貴博公式ページ

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