日本はとっくに“製造業の国”“輸出主導型経済”ではない…認識の欠如が経済停滞の原因
10月1日に消費税が10%に増税された。前回の増税はリーマンショック後の景気回復局面だったが、今回は世界景気が減速しつつあるなかでの増税となる。一方で、デフレと言いながら物価は上昇を続けており、労働者の実質賃金は低下している。年末から来年にかけてはさらに消費が冷え込む可能性が高く、景気対策を求める声が大きくなるのは確実だろう。
だが、日本経済が成長できていないのは、景気対策が不十分だったからではない。日本経済の仕組みが時代に合っておらず、あらゆる面で機能不全を起こしていることが原因であり、ここに手を付けなければ、すべての政策は対処療法に終わってしまう。
日本は「かつて」物作りの国だったが……
日本は物作りの国というイメージがあり、経済政策についても製造業支援を念頭に置いたものが多い。アベノミクスは特にその傾向が強く、原発輸出を国策にしたり、製造業の設備投資を促進するといった施策を実施している。だが、日本はすでに物作りの国ではなくなっており、国内消費で経済を動かす成熟型の消費国にシフトしている。
日本経済の変質は世界の輸出シェアに顕著にあらわれている。全世界の輸出における日本のシェアは、1980年代にドイツに肉薄したこともあったが、その後は一貫して低下が続いており、2017年にはわずか3.8%まで下がっている。残念ながら、製造業における日本のプレゼンスはかなり低くなったというのが現実である(ちなみに輸出シェア1位の中国は10.6%、2位の米国は10.2%、3位のドイツは7.7%と圧倒的に差を付けられている)。
筆者はこの現実についてそれほど悪いことだとは考えていない。製造業で競争力を発揮した国が、やがて新興国にキャッチアップされシェアを落としていくというのは、ある意味で歴史の必然であり、無理にこの流れに逆らう必要はない。もし、この流れに逆張りするのであれば、ドイツのように高付加価値製造業に特化したり、米国のように徹底した市場メカニズムを導入するといった特異な方向性を発揮するしか方法はなく、日本人にとってこうしたエクストリームな施策は現実的ではないだろう。
GDP統計の支出項目の比率も大きく変わっている。