時代の寵児だったフォーエバー21が、わずか10年で撤退した“報じられない理由”
フォーエバー21の店舗(「wikipedia」より/Wideangle)
1.突然に映る日本市場撤退?
9月25日に、日本でファストファッションブランド「FOREVER21(フォーエバー21)」を運営する合同会社FOREVER21 JAPAN RETAILは、公式HPにて10月末をもって日本国内でのECとすべての直営店舗14店をクローズすると発表した。秋冬物実需期である10月11日より、まさにファイナルセールを実施している。
米国本社(米国カリフォルニア州ロサンゼルス)は9月29日に連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻した。その後、同社はJPモルガン・チェースの仲介で2億7,500万ドル(294億円)を調達。米国の投資会社TPGシックス・ストリート・パートナーズから7,500万ドル(80億円)も確保し、再建に向けた協議を関係各社と進めている。大統領が四度の破産を経験しているお国柄ゆえ、再建に進むのは間違いなさそうである。
同社は、後述するが非上場であり、財務内容をほとんど公開してこなかった。今回の最悪の選択も、財務面で透明性に欠けた点は大きい。
日本での近年の詳細な業績は未発表だが、2009年に華々しい日本デビューを遂げ、16年には全国に24店舗を展開。しかし17年10月に日本1号店である原宿店を閉鎖し、18年には14店舗に縮小している。本年3月末に台湾撤退、4月末には中国撤退と続いており、次は日本かと注視されていた矢先の破綻である。
2.フォーエバー21の成功とチャプター11申請まで
フォーエバー21は、韓国から米国に移住してきたチャン・ドウォン(Do Won Chang)とジンスク(Jin Sook Chang)夫妻が1984年に婦人服販売としてロサンゼルスにて創業。H&Mより3割ほど安い破格の価格でトレンドを取り入れた衣料を販売。売切りスタイルで追加投入はせずに、常に使い捨て感覚の低価格トレンド衣料を店頭に投入し続ける業態を確立。ファストファッションブランドを代表するブランドとなった。
日本には、2000年に三愛グループと組み進出したが、1年あまりで撤退。08年、米国発リーマンショックで、安価にトレンド衣料を楽しめるファストファッションブームに世界中で火がついた。09年4月29日、アジアで初めての旗艦店が原宿にオープン、開店前に1,200人が列をなし、当日の来館者数は1万6,000人を数え、たった2カ月で100万人を突破した。翌10年4月、銀座松坂屋(現ギンザシックス)のグッチ店舗跡地にオープンし、初日来館数は4万人に達した。