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たかぎこういち「“イケてる大先輩”が一刀両断」

時代の寵児だったフォーエバー21が、わずか10年で撤退した“報じられない理由”

たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師

 きっかけとなった事故は悲惨だが、ファッション業界全体がこの根本的問題を直視し、改善に向けたムーブメントが広まった。これは、世界中で価格訴求の安価な商品だけをつくれる工場は、将来なくなることを意味する。

 フォーエバー21は、厳密な意味でSPA業態ではなかった。製品を業者から仕入れて店頭を構成している。つまり工場における生産や商品企画に、直接的にはタッチしない。価格訴求を最優先すれば当然、商品の品質は高まることはない。消費者と供給者の乖離がより広がるだけであった。

4.フォーエバー21破綻の示唆

 たった10年前に、業界のみならず日本のあらゆるメディアが注目し、時代の寵児であったフォーエバー21。誰も想像しなかったが、たった10年後の2019年に破綻した。安易な大量消費ではなく、サスティナビリティやトレンド多様化への消費者意識や環境に対応できていれば違ったかもしれないが、歴史に「もし」は存在しない。

 人類史上経験したことがないスピードで変化する現代に生きる我々は、想像外の問題に直面し続ける。フォーエバー21の失敗を「他山の石」として、改めてダーウィンの進化論を再認識しなければならない。

(たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師)

たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表/東京モード学園講師

たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表/東京モード学園講師

カギ&アソシエイツ 代表/スタイルアドバイザー/コンサルタント(ファッション視点からの市場創造)/東京モード学園ファッションビジネス学科講師

1952年、大阪生まれ。奈良県立大学中退。大阪で服飾雑貨卸業を起業。22歳で単身渡欧後法人化代表取締役就任、1997年香港に渡り1998年、現フォリフォリジャパングループとの合併会社取締役に就任。オロビアンコ、マンハッタンポーテージ、リモワ、アニヤ・ハインドマーチなど海外ファッションブランドをプロデュースし、日本市場の成功に導く。また、第1回東京ガールズコレクションに参画。米国の有名ファッション展示会「d&a」の日本窓口なども務めた。時代に沿ったブランディング、MD手法には定評がある。2013年にファッションビジネスのコンサルティング会社「タカギ&アソシエイツ」を設立。著書に『オロビアンコの奇跡』『超入門 日・英・中 接客会話攻略ハンドブック(共著)』(共に繊研新聞社)、『一流に見える服装術』(日本実業出版社)、『アパレルは死んだのか』(総合法令出版)『アパレル業界のしくみとビジネスがしっかりわかる教科書』(技術評論社)などがある。
コンサルタントのタカギ&アソシエイツ

Instagram:@kohichi.takagi

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