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続いて、19日。マニラで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、IMF(国際通貨基金)のリプトン筆頭副専務理事が「日本経済は成長への回帰を目指しているが、現在、やや休止中」と説明したのに対し、安倍首相が反論。「第2次安倍政権になって以降、国内総生産は27兆円増え、企業も最高の収益を上げている」と強調した。
一方、日銀の黒田東彦総裁も19日の金融政策決定会合後の記者会見で、「雇用・所得環境の着実な改善が続く中、個人消費は底堅く、住宅投資も持ち直している。企業・家計ともに所得から支出への前向きな循環はしっかり作用し続けている」と景気回復傾向は不変との見方を示したという。
さらに、17日付の日本経済新聞朝刊によると、「18人の民間エコノミストの予測を平均すると、10~12月のGDPは1.1%と小幅ながらプラス成長になる」見通しという。「在庫調整が進んで生産が持ち直す」というのがその理由としている。
しかし、「在庫調整が進んだ」からといって、経営者のマインドが冷え切ったままでは「生産が持ち直す」保証はない。
特に、気掛かりなのが、相変わらず実態のわからない中国バブル崩壊の深刻さだ。加えて、FRBが18日に公表した10月27~28日分のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨にも注目せざるを得ない。焦点の利上げについて、次回12月に断行するかどうかについて、「大半の委員」が「(その時点には)政策金利の正常化プロセスを開始する条件が整うと想定している」と明記しているからだ。これでは、日本の経営者マインドは容易に改善しないだろう。
安倍政権は、指標に逆らって景気が好調だと主張し続けるよりも、ほかにやるべきことがあるのではないだろうか。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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