7月に創業者社長だったジャニー喜多川氏が亡くなったジャニーズ事務所(以下、ジャニーズ)が、カリスマ・オーナー経営者の亡き後にどのような事業承継を果たしていくのか注目されている。ジャニー氏の姪である藤島ジュリー景子氏が順当に代表取締役社長に就任しているが、ジュリー氏を支えていく経営陣はこれからどのような構成で進んでいくのだろうか。
9月に発表された新役員人事では、プロデューサー部門でジャニー氏の後継となった滝沢秀明氏が取締役副社長に新任し、その活躍に期待が寄せられている。ジャニー氏とその姉の藤島メリー泰子氏(現会長)の二人三脚で発展させて芸能界の一大勢力となったジャニーズの新時代を担っていくのは、どんな経営幹部たちなのだろうか。
男子タレントの育成とファン・クラブが成功モデル
ジャニーズは、ジャニー氏とメリー氏の「双頭経営」「分担経営」により発展を遂げてきた。2人は成人するまで、日本で生活した一時期を除いてアメリカのロスアンゼルスで育った。ショー・ビジネスの本場で過ごしたジャニー氏は、1952年に日本に移住してから、当初は少年たちに野球を教えていた(このチーム名が「ジャニーズ」)が、やがて少年たちに歌やダンスを教えてタレントとしてデビューさせるエンターテイメント・ビジネスに乗り出したのである。知られているように、ジャニーズでは男子だけをタレントとして養成しているので「男の子版宝塚」として発展してきた。
ジャニーズには今や15のグループと90人を超えるタレントが所属し、デビュー前のタレント予備軍であるジャニーズJr.は約300名を数えるという。デビューすることができないジャニーズJr.は30歳で卒業しなければならないとされる。
ジャニーズJr.は、先輩タレントがテレビやステージに出演する際にバックダンサーとして参加するなど、出演機会を与えられる。練習にもなるし、ファンの目に留まったメンバーはデビューやグループ結成の機会を早く与えられることがある。ジャニーズJr.は制度としてタレント輩出装置となっているのだ。