女子に圧倒的な人気を持つジャニーズのタレントやグループには、それぞれにファン・クラブがつくられている。そしてこのファン・クラブが強力な利益創出装置として働いている。
「コンサートチケットは原則、『ジャニーズファミリークラブ』というファン・クラブに入らないと購入できません。しかも嵐は嵐、TOKIOはTOKIOと、グループごとに加入する必要がある。ファミリークラブの入会金は1000円で年会費は4000円。ジャニーズ屈指の人気を誇る嵐のファミリークラブ会員は200万人超ともいわれ、単純計算でも年間80億円が集まります。ファミリークラブの総会員数は500万人とみられており、年会費だけで200億円に達する計算です」(「週刊ポスト」<小学館/7月12日号>記事『ジャニーズ事務所、その圧倒的経営力支えるビジネスモデル』より)
ジャニーズの企業規模は大きくないようにみえる。資本金は1000万円で従業員数は130名に過ぎない(同社ホームページ)。しかし、グループ年商は1000億円を超えるとみられており、芸能界にあっては突出した存在である。ちなみに前出「週刊ポスト」記事によれば、業界2位のアミューズの年商額は400億円と推定されている。
このように巨大芸能事務所となった後も、ジャニー氏はその経営は姉のメリー氏に任せ、自らはタレントの発掘とその育成、芸能出演を取り仕切る「プロデューサー」としての役割に徹していた。11年には「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」として、12年には「チャート1位を獲得した歌手を最も多くプロデュースした人物」としてギネス世界記録に認定されている。
ジャニーズは会社経営のメリー氏、プロデューサーのジャニー氏と、明確な役割分担で事業経営に当たり、成功したといえる。問題はジャニー氏が去った後、次の世代が巨大な芸能事務所の経営かじ取りをどのように分担して行っていくのかということだ。
プロデューサーには現場上がりの豊富な人材が
ジャニーズの組織図を見ると、取締役会の下に宣伝本部、企業広報部、制作プロジェクト本部、マネージメント本部、経営管理本部、そしてジャニーズファミリークラブという6つの本部が置かれている。「利益創出装置」としてのファミリークラブ以外で同社のビジネスの遂行に大きな役割を果たしているのが、制作プロジェクト本部、マネージメント本部、経営管理本部の3つなのではないか。経営管理本部の機能は経理やIT、総務なので理解しやすい。