日本は潰れるとして『警鐘』を刊行
この日の会見で経営復帰の理由を聞かれた渡邉氏は、「国会議員として何もできなかった。0点だ」と述べた。「ワタミを成長させることで、たくさんの人を幸せにできると考え、実現しないといけないという勝手な使命感だ」とした。10月7日、著書『警鐘』(アチーブメント出版)が出版された。「国会議員を経て、“日本は潰れる”という警鐘を世の中に伝えたかった」と、宣伝文にはある。「中小企業の経営者に読んでいただきたい(必読書)」とも。本書でアベノミクスは失敗したと断言している。「国会の中にいて、議員の人たちから感じた“危機感のなさ”を伝えなければいけない、という使命感と自らのけじめのためにこの本を書いた」と語った。
女性従業員が過労自殺
ワタミといえば、「ブラック企業」の代名詞だった時期がある。08年6月、持ち株会社ワタミ傘下の外食事業会社、ワタミフードサービスが運営する居酒屋「和民京急久里浜店」(横須賀市)で働く女性社員(当時26歳)が、入社してわずか2カ月で自宅マンションから飛び降り自殺をした。会社は7日間連続の深夜勤務を含む、月140時間の時間外労働を強いてきた。
遺族の労災申請を不支給とした横須賀労働基準監督署の決定を取り消し、神奈川労災補償保険審査官は12年2月14日、「時間外労働で適応障害を発症したのが(自殺の)原因」と結論づけ、業務と自殺の因果関係を認め、労災適用を認定した。自殺した社員の生々しい日記が公開された。
<体が痛いです。体がつらいです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい>
亡くなる1カ月前の日記には、心身の限界に達した彼女の悲痛な叫びが記されていた。ワタミへ批判が殺到した。当時ワタミ会長だった渡邉氏が一連の報道に言及したツイートが非難の火に油を注ぐことになった。
<労災認定の件、大変残念です。四年前のこと昨日のように覚えています。彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理できていなかったとの認識は、ありません。ただ、彼女の死に対しては、限りなく残念に思っています。会社存在の目的の第一は、社員の幸せだからです>
さらに当日、バングラデシュで学校をつくる事業と、労災認定された女性従業員を結びつけるツイートをした。
<バングラデシュ朝、五時半に、イスラムの祈りが、響き渡っています。たくさんのご指摘に、感謝します。どこまでも、誠実に、大切な社員が亡くなった事実と向き合っていきます。バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています>