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ホワイト企業化したワタミに“性根がブラック経営者”の渡邉氏復帰…労働環境に懸念広まる

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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渡邉美樹氏(写真:アフロ)

 ワタミの創業者である渡邉美樹氏が10月、8年ぶりに同社の代表取締役会長に復帰した。ワタミは過酷な労働を強いる「ブラック企業」との批判を受け、一時は営業赤字に陥るなど不振に陥ったが、祖業ブランドの「和民」を鶏料理をメインに据えた居酒屋に転換し、業績は回復基調にある。

 そうしたなか、「ブラック企業経営者」のイメージが残る渡邉氏が再びワタミを率いることになった。同氏のもとで、はたしてワタミは完全復活できるのか。

 渡邉氏は1984年にワタミの前身を創業。2009年にワタミの代表取締役会長に就いたが、11年の東京都知事選に出馬するため退任。落選後の12年には常勤の取締役として復帰したが、参院選に立候補するため13年に退いた。参院議員の任期を終え、19年7月に取締役に就き経営に復帰。10月に代表取締役会長に復帰した。

 ワタミでは08年に、新入社員が過労自殺するという痛ましい事件が起きた。それが明らかになると、同社には批判が殺到。以降、同社の労働環境に対して厳しい目が向けられるようになった。13年にはブラック企業大賞企画委員会の「ブラック企業大賞」に選ばれるなどワタミ批判が吹き荒れた。

 こうした批判の影響もあり客足は遠のき、14年3月期と15年3月期に巨額の最終赤字を余儀なくされた。売上高は、渡邉氏が参議院議員になった14年3月期にピークに達し1631億円を計上。だが、以降は下降の一途をたどり、19年3月期には947億円まで低下した。この間に売上高は4割減った。

 だが、業績は底を打ちつつある。19年3月期は減収となったものの、前期からの減少率は1.8%と微減にとどまった。15年3月期と16年3月期に赤字だった営業損益は、19年3月期まで3年連続で黒字を確保し、営業増益が続いている。総合居酒屋「和民」「わたみん家」を、鶏料理メインの居酒屋「三代目鳥メロ」「ミライザカ」に転換するように進め、ブラック企業のイメージが強い“わたみ”の名を隠したことが奏功した。

「社員の幸せ日本一」を標榜

 こうした経緯を経て渡邉氏は復帰したわけだが、ワタミのあるべき姿として掲げている「社員の幸せ日本一」と、11月15日発表の「中期経営計画」に盛り込んだ「29年3月期に連結売上高2000億円、営業利益100億円」を実現できるかが焦点となる。

 はたして、渡邉氏のもとで「社員の幸せ日本一」は実現できるのか。渡邉氏が不在の間にワタミが「ホワイト企業」化したとの指摘がある。同社は労働環境の改善を目的に、14年に外部の有識者を交えた「コンプライアンス委員会」と「業務改善委員会」を設置。労働環境改善の取り組みを進めてきた。

 こうした機関を中心として、働き方改革を推進。メンタルヘルスについて相談できる窓口を設置したほか、店休日の設定や営業時間の短縮などを実施して従業員の負担を軽減したり、長時間労働を防ぐために勤務時間の管理を強化するなどし、対策を講じてきた。16年には、同社初となる労働組合が発足した。

 こうしたことが実を結び、労働環境は改善。17年3月期に7.9日だった月間の平均公休日数は、19年 4~9月期には9.0日まで増大したという。また、17年3月期に36.4時間だった月間の平均残業時間は、19年4~9月期には5時間強減って31.2時間になったという。

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