「働き方改革」という言葉が社会に定着して久しい。それでも年末年始の休日をすべて休める人ばかりではないようだ。時事通信は年末から1月5日まで何日休めるかを聞くアンケートを実施。その結果を「年末年始休み無しが1割」と題し23日、公開した。
調査は、12月6~9日、全国の18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は61.4%だったという。意外なことに一番多かったのは「9日」で36.2%。一方で、「まったく休めそうにない」(10.6%)、「1~2日」(9%)で、合計すると約20%を占めた。非正規雇用の増加などで広がる収入格差と同じように、休日取得数の差も拡大しているように見える。各業界の年末年始の営業状態はどうなっているのか。
百貨店の初売りはおおむね1月2日から
毎年新春の風物詩といえば、初売りだ。今年は東急百貨店、東武百貨店、三越伊勢丹、高島屋の各店は元日休業で2日から、西武百貨店は1日から行うようだ。百貨店関係者は次のように話す。
「デパート離れも進み、正月の販売員確保も難しい状況になっています。確かに他店より早く売り出せば、インパクトもありますが今は選択と集中の時代。私が勤務する百貨店ではPR戦略や人員確保なども含めて無理に元日から営業するより、2日からの販売に注力した方が良いと判断したようです。それでも社員の年末年始中の休みは多くて2日くらいです。なかなか厳しいです」
休みなしイメージのある業界は?
休みなしといえば、365日営業の飲食チェーン店が思い浮かぶ。しかし、元日休業の動きはこの業界でも顕著になりつつあるようだ。ファミリーレストランのスカイラークホールディングス(HD)は11月25日、「働き方改革の一環として年末年始の営業時間を短縮。全店舗の約80%にあたる約 2700 店で大晦日は午後 6 時まで営業、元旦は正午から営業します」とのプレスリリースを発表した。同社は「これまで従業員のワークライフバランスを重視し、営業時間の見直しを進めてまいりました。このたび『年末年始』という 1 年の中でも大切な時間を、従業員にご家族やご親族とともに過ごしてほしいとの思いから年末年始の営業時間短縮を決定いたしました」と説明する。
とはいえ、1日丸々休業になるわけではなく、誰かが元日から働かなくてはいけないのは変わりはないようだ。
正月はどこの地域も初詣や帰省客などでにぎわう。全国の路線バス会社のほとんどが休日ダイヤで運行を続ける。そんななか、山形県のバス会社「山交バス」(山交、山形市)は1日の路線バスを運休する。
山交によると、同日は「山形駅~蔵王温泉」間のみ日曜祝日ダイヤで運行するものの、他の路線はすべて運休する。一方で、帰省や観光客などに対応する高速バスは通常通り運行するという。同社の広報担当者はその理由を次のように説明する。
「元日は路線バスが運休するものと決まっていて、もはやいつからそうだったのかわかりません。昔から山形の人は、大晦日から年明け2日まで親戚家族が集まって、ため込んだ食料を食べながら地元の神社にお参りする以外、地元の外に出ません。今年はまだ多くはありませんが、雪も降りますしね。最近では元日から動く人もいるみたいですが、多くの人たちのスタンスは変わらないと思いますよ」
地方で続く一昔前の日本社会の姿が、働き方改革の一つの目標なのかもしれない。
(文=編集部)