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日高屋、突如客離れ始まり増収停止…“働き方改革&消費増税”不況直撃で危険な兆候

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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日高屋の店舗(「Wikipedia」より)

 ラーメン店「日高屋」を展開するハイデイ日高の成長が止まった。9月27日発表の2019年3~8月期単独売上高は、前年同期とほぼ同じ211億円だった。厳密に言えば、約300万円少なかったので減収だ。同社は1999年に店頭市場(現ジャスダック)で株式公開して以降、通期、中間期とも増収を続けてきたが、中間期は今回で連続増収が止まってしまった。

 利益も大きく減った。営業利益は前年同期比11.0%減の22億円、純利益は13.1%減の14億円だった。従来計画では、営業利益が1.5%増の26億円、純利益が0.5%増の17億円としていたが、一転してどちらも減益となってしまった。

 既存店の不振が響いた。3~8月の既存店の客単価は前年同期比0.3%増と微増だった一方、客数が3.1%減と大きく減った。既存店売上高は2.8%減だった。値上げを嫌って客離れが起きたほか、働き方改革の影響で店に寄らずに帰宅する会社員が増えたことが響いた。

 同社は昨年4月下旬に値上げを実施した。麺類や定食類を中心に一部メニューを10~30円引き上げている。たとえば、「野菜たっぷりタンメン」は20円引き上げて520円(税込み、以下同)、「チャーハン」は20円引き上げて450円、「餃子(6個)」は10円引き上げて同230円になった。この値上げ以降、客数が目立って減少するようになった。

働き方改革が日高屋に与えた影響

 これに加えて大きく影響したのが、働き方改革だ。ハイデイ日高によると、働き方改革で店に寄らずに帰宅する会社員が増え、ディナータイム以降の売り上げが減少したという。「ちょい飲み」需要が減ったようだ。

 特に、4月に施行された働き方改革関連法が大きく影響したとみられる。同法では、時間外労働の上限について、原則「月45時間、年360時間」とした。これにより残業が減り、従来より早く退社する会社員が増えたとみられる。ただ、それにより日高屋に寄る人は増えなかった。

 働き方改革は16年から本格導入されているが、これにより早く退社する会社員が増えたとする調査結果がある。清涼飲料メーカーのアサヒ飲料が、一般企業で働く20~60代の男女1万人を対象にした働き方改革に関する調査を17年12月に実施し、18年4月に発表した。それによると、働き方改革の導入で早く退社するようになった人は全体の7割に上ったという。

 それにもかかわらず日高屋に寄る人は増えなかったわけだが、前述の調査の別の問いに対する回答を見てみると、日高屋に寄る人が少なかった理由が理解できる。

 働き方改革により空いた時間を何に使うかを問うたところ、回答の多い順に「趣味」(38.7%)、「家事、育児」(26.4%)、「配偶者と過ごす」(25.9%)、「友人と過ごす」(14.1%)と続いた。

 これら上位の回答を見てみると、日高屋に寄る人が多いとは考えられないだろう。「友人と過ごす」で飲食店を利用することも考えられるが、1人客が多い日高屋は選ばれにくいといえる。 また、日高屋の利用が考えられる回答として「まっすぐ家に帰らず寄り道をする」があるが、その回答は11.7%と大きくはなく、「寄り道」する場所としては「書店」(47.3%)がダントツで、それ以外はまばらだ。寄り道の場所としても日高屋は選ばれにくいようだ。

 これらを総合すると、働き方改革は日高屋に有利に働きそうもないことがわかる。事実、そうなってしまった。

 働き方改革で営業時間を短縮した店舗が増えたことも客足に影響した。ハイデイ日高は従業員満足度向上のために就労環境の改善に取り組んでおり、その一環として、新規出店店舗や複数出店しているエリアの一部店舗の営業時間を、従来より短縮した。閉店時刻を午前2時から午後11時前後に前倒ししている。これが売り上げ減につながった。

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