18時退社、連続9日有給、分厚い手当…でも売上は前年比332%の超優良企業
2011年の東日本大震災以来、再生可能エネルギーの必要性が叫ばれて久しい。原子力に代わる発電手段として太陽光や風力などが注目されてきたが、昨今は原発再稼働の動きが活発なため、再生可能エネルギーへの注目度が下がってきている。
そんななかでも、全国に4000件以上と着実に産業用太陽光発電の設備を増やし続けている会社がある。それがアースコムだ。売り上げも33億円超で、前年比232%、4期連続増収増益と堅調である。産業用太陽光発電の会社としては全国トップレベルで、本社がある埼玉県に所在する全業種の中で売上高は第2位、しかも県の産業労働部より「経営革新計画承認企業」「多様な働き方実践企業」と認定されている超優良企業だ。
太陽光といえば近年、設備の近隣トラブルや契約不履行トラブルなどがたびたび報道され、マイナスイメージを抱く人もいるかもしれない。だがアースコムは、掲載において審査が厳しいといわれる総合情報誌「Wedge」(ウェッジ)で、太陽光発電メーカーとして初めて紹介されたのをはじめ、テレビなどさまざまな媒体でも取り上げられ、業界で今もっとも注目される企業となっている。
なぜアースコムは顧客から信用され業績を伸ばすことができたのか。今回、その秘密を探った。
大胆な事業転換
丸林信宏氏は08年、住宅販売業としてアースコムを起業した。住宅販売の傍ら、住宅に設置する太陽光発電も顧客に勧めてきた。顧客のエコに対する意識が高まっていることを感じ取っていたからだ。時代の後押しもあり、太陽光の需要は大きくなり、個人宅への設置も増えてきた。
11年、丸林氏はある重要な情報を目にする。それは国が太陽光発電による電力を固定価格で20年間購入するというニュースだ。そのニュースを見て丸林氏は、「これはとんでもなく大きなビジネスになる」と身震いしたという。すぐに事業内容の転換を決意した。住宅販売から産業用太陽光発電設備の販売という大胆な事業転換である。
「下手をすればすべてを失う決断でした。しかし、これから社会全体でも再生可能エネルギーの重要性が高まるのは間違いないと確信していましたし、お客様の太陽光に対する期待感が年々高まっていることは肌で感じていました。私のこの現場感が、このビジネスを実行すべきだと思わせたのです」(丸林氏)