経費削減を余儀なくされる企業がほとんどの昨今、真っ先に削られるのがタクシー代だ。深夜の長距離帰宅につきものの「タクシーチケット」の使用はバブル期の半分以下ともいわれており、泣く泣く自腹で乗るビジネスパーソンも多いだろう。
そこで、「タクシーに、なるべく安く乗りたい」という人のために、現役運転手から聞いた、タクシーの上手な利用法を紹介しよう。
タクシーメーターの“合図”を見逃すな!
料金などが表示されるタクシーメーターをよく見ると、料金が上がる前に小さくランプが点滅する。これは、「あと少しで料金が上がりますよ」という合図である。
その合図は、メーターのメーカーによってさまざまだが、よく見ていれば「料金上昇のお知らせパターン」がすぐにわかる。「お客さんにこの秘訣を教えてあげたら、すごく喜ばれて、チップをくれましたよ」とは、筆者が話を聞いた運転手だ。
この仕組みを知っておけば、「料金上昇前のギリギリ」で止めてもらうこともできる。タクシーは90円ずつ加算されるため、わずか90円の話だが、ちりも積もれば山となる。覚えておいて、損はないだろう。
月曜深夜&給料日前は値引きが成功しやすい!
「2月22日の月曜深夜、東京・神田で乗せたお客さんが『千葉の船橋まで帰りたいんだけど、いくらかかる?』って言うんです。『(一般道で)8000~9000円ぐらいだと思います』と答えたら、『もうちょっと、安くしてくれない? 7000円ぐらいで』と……。暇だったので、値引きしちゃいました」(前出のタクシー運転手)
この場合、差額は運転手の自腹となるが、それでも値引きするには理由がある。
まず、「都内の月曜深夜」は1週間で最も売り上げが期待できない日だ。さらに「22日」は給料日前で、運転手にとっては締め日(翌月の給与決定のために売り上げを集計する日)も近い。「足切り(ノルマ)に足りていないし、少しでも売り上げを上げたい」という運転手の思いと、「少しでも安く帰りたい」という客の思いが一致するわけだ。もちろん、給料日前なら金曜以外でも通用する交渉術だ。
別の運転手も「『半額で』なんて言われたら断るけど、そのぐらいなら応じるかな」と語る通り、空車タクシーがあふれる給料日前の平日(金曜を除く)は、こうした“ダンピング”に応じてくれる運転手もいるようだ(なお、値引きを行った運転手は罰金刑の対象となる場合があり、会社は営業停止処分となる場合もあります)。
「深夜1~2時ぐらいに車庫方面に帰ってくれるのなら、応じやすいですね」(同)
ただし、この手法は金曜や終電間際など、タクシーが忙しい時には使いづらい。あくまで、空車があふれていることが前提だ。また、値引き前の金額がある程度でなければ、「じゃあ、別の車に乗って」と言われる可能性もある。