近年、都内のタクシーは乗務員の教育が行き届いており、礼儀知らずの運転手は減っているが、郊外などにはバブル期を知る昔かたぎの運転手も存在しており、中には返事もせずに無言で発車させるような人もいる。
ワンメーターの客を「ゴミ」などという隠語で呼ぶ輩もいるが、こういった失礼な運転手は付け待ちに多く見られるようだ。乗客としては、付け待ちしか選択肢がない場合は仕方ないが、流しを拾ったほうが気持ちよく乗車できることは間違いない。長時間待機しているタクシーが多い空港などで「近場まで乗りたい」という場合は、タクシー会社に連絡して予約する手もある。
タクシーが少ない“魔の時間帯”は?
タクシーが最も少なくなるのは、午前4~6時の2時間だ。この時間帯は運転手の交代期に当たるため、走っているタクシーの多くは「回送」表示をしており、手を挙げてもつかまらないことが珍しくない。タクシー会社に予約の電話をしても「その時間帯は…」と断られることもある。
そんな時は「チップを出しますから」と直談判するのがコツだ。タクシーをつかまえて事情を話し、「迎車料金でいいから」といえば、応じてくれる運転手もいるだろう。
タクシーは、出庫から20時間後の帰庫が義務付けられている。そのため、早朝に出庫したタクシーは帰庫時間ギリギリとなり、応じてくれる可能性が低いが、昼頃に出庫したタクシーは、帰庫までの時間に余裕がある。
そのため、昼出勤のタクシー運転手にとっても、「乗客をつかまえにくい」4~6時は予約に応じやすい時間帯なのだ。
ただし、車庫から遠い車の場合、この時間帯は勤務時間や走行距離の制限をオーバーする可能性がある。つまり、この手法は「乗車予定地から遠くないタクシー会社」の車両の場合に成功しやすいということだ。
また、給料日直後の金曜夜も乗車率が高くなるため、タクシーがつかまりにくい。「終電間際は30分待ち」ということもあり、そんな時間帯は予約もしづらい。
しかし、事前に乗車時間と場所さえわかっていれば、やはり予約を入れておくのが得策だ。ただし、運転手にとっては稼ぎどきに長距離客を断るというリスクが生じるため、長距離や高速道路利用のほうが受けてもらいやすいだろう。
(文=後藤豊/フリーライター)