トヨタ、サブスク「KINTO ONE」にレクサス投入…ホンダ&日産も参入“車乗り放題”料金比較
以前、本連載でも記事にした、トヨタ自動車のサブスクリプションサービス「KINTO(キント)」が2019年2月のサービス開始から1年を経過した。
この間、昨年末にはトヨタファイナンシャルサービスと住友三井オートサービスの共同出資で生まれた同名の運営会社が説明会を行い、東京地区で試験導入した3~6月の4カ月間で83件、その後の全国展開では7~11月の5カ月間で868件の申し込みがあったことが発表されている。
日本自動車販売協会連合会が発表した、昨年の日本国内でのトヨタ車の販売台数は155万1204台なので、単純計算すれば、昨年5カ月間のKINTOのシェアは0.74%ということになる。
日本でのクルマのサブスクの成功例と言えるのが、スウェーデンのボルボが2017年から展開している「SMAVO(スマボ)」だ。2019年の実績では、新車販売の約9%がSMAVOでの契約だという。
つまり、展開次第では効果のあるサービスと考えられる。だからだろう、トヨタは2020年1月、これまでトヨタ車だけだった「KINTO ONE」にプレミアムブランド「レクサス」を加えるとともに、トヨタ車8車種を追加した。
それだけではない。同月には、トヨタのライバルである本田技研工業(ホンダ)、3月には日産自動車が、それぞれ独自のサブスクサービスを導入しているのだ。
ホンダの「Honda Monthly Owner(ホンダ・マンスリー・オーナー)」は、3年契約となるKINTOに対し、最短1カ月から最長11カ月までという短期で利用できることと、中古車を対象としている点が特徴だ。ただし、本稿の執筆時点では、埼玉県にあるホンダ認定中古車販売店1店舗のみでの対応となっている。
一方、日産の「NISSAN ClickMobi(ニッサン・クリックモビ)」はKINTOと同じように新車が対象で、期間は3/5/7年の3パターン。現時点で展開しているのは、北海道札幌地区と愛知県・岐阜県・静岡県・三重県だ。トヨタ/ホンダと違うのは、自宅まで車両を届ける「納車」対応をしていることで、新型コロナウイルス感染拡大が懸念される昨今の事情を考えるとありがたい。
クルマのサブスク、各社の料金を比較
それぞれの月額支払額を比較すると、トヨタはもっとも安いコンパクトカーの「パッソ」が3万2780円から、デビューしたての「ヤリス」は3万9930円となっており、ホンダは軽自動車の「N-BOX」が2万9800円から、旧型にはなるが、コンパクトカーの「フィットハイブリッド」が3万9800円からとなる。日産は軽自動車の「デイズ」が2万5740円から、コンパクトカーの「ノートe-POWER」が3万9600円だ。
ちなみに、ボルボのSMAVOは、3年契約で2年後から乗り換え可能な「SMAVO 2/3」と5年契約で3年後から乗り換え可能な「SMAVO 3/5」があり、エントリーモデルの「V40」シリーズを除く全車種が対象。新車価格489万円の「セダンS60T4モメンタム」の場合、3年契約では月々の支払いは8万1800円、5年契約の場合は6万7100円となる。
さらに、登録後18カ月、走行距離1万2000km以内という良質な中古車を対象とした「SELEKT SMAVO」もあり、こちらは頭金18万8357円を払えば、月々3万4100円の12回払いでV40に乗ることができる。
欧州では、フランスのシトロエンが3月に発表した電気自動車「Ami(アミ)」が話題だ。日本の軽自動車よりさらに小さな超小型モビリティの規格に属する車種で、2人乗りで最高速度は45km/h以下となる代わりに運転免許不要。フランスでは14歳、それ以外の多くの欧州諸国でも16歳から運転可能だ。
Amiはシェアリング、長期レンタル、購入の3つの乗り方が選べる。販売価格が6000ユーロからと安価なことを頭に入れる必要はあるが、サブスクメニューと言える長期レンタルは、最初に2644ユーロを払うと、その後は月19.99ユーロで利用できる。
最初に紹介したKINTOの説明会では、ウェブサイトでの申し込みが約7割に上り、年齢層では18~29歳が約2割を占めていたことも公表していた。これまでのトヨタ車ユーザーよりも、デジタルネイティブな若者に響いているようだ。
しかし、若者をターゲットにするなら、ホンダのように最短1カ月から契約できたり、ボルボやシトロエンのように頭金を設定することで月々の支払いを少なくできたりすれば、さらに敷居が低くなるのではないだろうか。
また、音楽や映画のサブスクは見放題聞き放題が一般的であり、1カ月ごとに好きな車種を取り替え可能なメニューなら、月5万円でも喜んで払う人がいそうな気がする。
音楽や映画のサブスクがここまで一般的になったのは、受け手にとってありがたいサービスだったからだ。クルマのサブスクにも、こうした視点が求められているのではないかと思っている。