子供に大人気のお菓子に「ビックリマンチョコ」がある。このビックリマンチョコを製造・販売しているのがロッテだ。そのロッテで、ビックリマンも驚くようなビックリな出来事が進行している。「創業者とその長男」対「次男と現経営者」という構図の経営権争いが行われている。次なるヤマ場は、6月の株主総会だ。
これまでのロッテの経営権争いの経緯は、次のようになっている。なお、この事実関係は、創業者である重光武雄氏とその長男である重光宏之氏側が明らかにしているもので、次男の重光昭夫氏と佃孝之社長側は、筆者の取材に対して「係争中の案件なので取材には応じられない」としている。また、以下の肩書はいずれもその時点のものである。
2014年後半、当時ロッテホールディングス(HD)副会長であった宏之氏に関して、佃社長から虚偽または著しく誇張された説明が武雄会長に対して繰り返し行われた。同年12月19日、自らが社長に招聘した佃氏を信用していた武雄氏はその説明を信じ、佃氏らに促され宏之氏の副会長解任に同意する。
同年12月22日、ロッテHD取締役会で宏之氏は武雄氏による同意等を理由として取締役の辞任を求められる。 同26日、宏之氏は、理由がないため辞任しない旨を伝えたところ、ロッテHD取締役会において、重光氏に対する副会長解職決議がなされ、グループ会社の取締役からの解任が進められる。そして15年1月6日、ロッテHD臨時株主総会で、宏之氏の取締役解任が決議される。
その後、宏之氏が武雄氏に真相を説明し、佃氏による説明が虚偽または著しい誇張であったと武雄氏が認識することにより、新たな局面に入った。
同年7月3日、武雄氏は佃氏に対して取締役を辞任するよう通告し、佃氏は辞任する旨を回答したが、結局、佃氏は辞任をしなかった。同月27日、武雄氏は経営権問題の幕引きを図るため、宏之氏を伴い、現任取締役らの職務を解き正式な手続きにより解任して宏之氏を中心とする新体制にすることを宣言する。 同月28日、ロッテHD取締役会は、創業者である武雄氏の代表取締役を解職する。
同年10月2日、武雄氏がロッテHDに対して、取締役会決議の無効確認訴訟を提起する。同月14日、ロッテHDの筆頭株主である光潤社(重光一族の資産管理会社)の臨時株主総会が開催され、宏之氏が同社代表取締役に就任する。 同年11月12日、宏之氏は、虚偽の報告を行った佃氏と虚偽報告に基づき取締役を解任したロッテグループ4社を相手取り、損害賠償訴訟を提起する。