以上がこれまでの経営権争いの主な内容となっている。どれほど顧客や従業員とかけ離れたところで、経営権争いが行われているのかがわかる。
“井の中の蛙”的な経営
ロッテグループはメジャーなお菓子メーカーでありながら、日本では上場していないため経営実態が明らかになっていない。同社のホームページを見ても、企業情報に関して有意義な情報はほとんど入手することはできない。それも株主構成が議決権ベースで光潤社31.5%、従業員持ち株会31.1%、役員持ち株会6.7%、関係会社15.6%となっていることで、“井の中の蛙”的な経営が行われてきたことに原因があろう。
従業員は現在の状況をどのように感じているのかを取材しようと思い、従業員寄りだとと思われる2人のプロパー役員に取材を申し入れたが、了承が得られなかった。
現在の従業員組合持ち株会は、勤続10年以上のロッテグループ各社の管理職で、かつ従業員持ち株会が入会を承認した約130人で構成されている。おおよそ従業員組合とは名ばかりのもので、まさに“御用組合”的な色彩が強い。
しかしながら、この組合持ち株会が議決権ベースで31.1%とキャスティングボートを握っている。従業員の代表ともいえる従業員持ち株会が良識ある判断を下し、経営が健全化するかが注目される。
非上場企業とはいえ、ロッテは注目度の高い企業であり、冒頭のビックリマンチョコのように顧客ファンも多い。当然のことながら、経営権争いを繰り広げている旧・現経営陣は、きちんと経営方針を表明するべきだろう。その点、創業者である武雄氏とその長男である宏之氏側は考え方を明らかにしており、一歩リードといったところか。
ロッテ関係者の中には、佃氏以下の現経営陣が昭夫氏を使って、重光一族をロッテから放逐するために仕組んだ動きではないか、との見方もある。「いずれは昭夫氏も放逐され、ロッテは重光一族のものではなくなる。まさに、堤一族が西武グループを失ったように」(ロッテ関係者)との意見は印象的だった。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)