それでも廃棄食品横流しは蔓延している…「ブラックホール化」する食品廃棄の闇
12年までさかのぼってみると、処分理由として役員や株主の廃棄物処理法違反や「裁判所から破産手続き開始の決定」「破産宣告」「特別清算開始の命令」「道路交通法違反の罪により、懲役刑が確定」「法人税法違反の罪により、懲役刑が確定」がある。つまり、なんらかのかたちで業務に関連したと思われる範囲内での違反行為だ。
ところが、業務とは関係がなさそうな、「刑法の罪により、罰金刑や禁錮、懲役刑(執行猶予付など)が確定」や、「懲役刑の執行が終了してから5年を経過していないことが判明」との理由で処分される例が目立つ。それは12年3月から16年5月までの間に、全処分件数104件のうちの20件、2割近くを占めた。これは何を意味するのか。
ココイチの廃カツは「動植物性残さ」
その謎解きをする前に、まず基本知識を整理しておきたい。廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)によれば、廃棄物には事業活動に伴って生じる「産業廃棄物」(廃棄物処理法で規定された燃え殻や汚泥など20種類)と、「一般廃棄物」(家庭廃棄物や、産業廃棄物以外の事業系一般廃棄物など)【編注3】の2つがある。今回、横流しされたココイチの廃カツは産業廃棄物の1つ、「動植物性残さ」(食料品など)に当たる。
事業者は自己責任で産業廃棄物を処理しなければならないが、自ら処理できない場合、処理業者に委託できる。処理業者(産業廃棄物処理業)になるには許可が必要で、特に収集運搬業(産業廃棄物収集運搬業)の場合、産業廃棄物の積み込み・積み下ろし区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。また、同処分業(中間処分業と最終処分業の2つ)では区域管轄の都道府県知事、あるいは政令市(全国68)の場合には市長の許可が必要だ。
反社会的勢力などの排除のための欠格要件
産業廃棄物処理業の許可を得るには、まず2つの基準【編注4】をクリアしなければならない。例えば収集運搬業の場合、1つには「施設に係る基準」として、産業廃棄物が飛散、流出、悪臭漏れのおそれのない運搬車や運搬容器などがあるか。2つ目が「申請者の能力に係る基準」で、収集運搬を的確に行なうに足る知識・技能と共に、それを的確に継続できる経理的基礎(資金などの経営基盤)があるか。