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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

それでも廃棄食品横流しは蔓延している…「ブラックホール化」する食品廃棄の闇

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

 それも、建設業や製造業などとの兼業が大半で、産廃処理業界の専業はわずか3.8%にすぎず、いわば片手間産業の様相を呈す。産廃処理業の売上高では、ゼロ回答(開店休業状態)が25.8%で最も多く、ついで1000~5000万円未満20.6%、1~10億円未満18.5%で、10億円以上はわずか2.7%だ。

鉄道、百貨店より小さく、証券や放送百貨店より大きなマーケット

 これらのデータから産廃処理業界全体の市場規模は約5兆円と推定され、しかも全体の約4%の業者がその市場の50%を占める寡占状態にあるという。この約5兆円の市場規模は大きいのか、小さいのか。

 一般の産業が動脈産業だとすれば、リサイクルにも関係する産廃処理業界は、いわば静脈産業だ。そのイメージから、つい約5兆円というのは大した数字ではないと考えがちだが、実はそうではない。

 もちろん、その市場規模はトップクラスの自動車・同付属品製造(62.5兆円)や建設(51.3兆円)【編注2】の10分の1以下だが、鉄道(6.8兆円)や百貨店(6.2兆円)よりはやや少ない程度。自動車整備(5.5兆円)や印刷(5.4 兆円)、自販機(4.9 兆円)とほぼ同じサイズで、証券(4.2兆円)や放送(3.9兆円)よりは大きい。

 つまり、産廃処理業はこれだけの大きなマーケットを抱える堂々たる業界だというわけだ。

違法業者の取り締まり強化

 今回の実態調査のために業者に配布された調査表の質問の中に、「産廃処理業の活性化に向けて国に取り組んでもらいたいこと」がある。その回答としての選択項目の最後の「その他(自由記入)」で最も多かった「リサイクルの促進に関する意見」(424件中45件)に次ぐ2番手が、「違法業者の指導、取り締まり強化」(同39件)だった。

 つまり、同業者が同業者の取り締まり強化を強く望んでいるという。だが、報告書にはそれ以上の説明はない。

 環境省が作成した「産業廃棄物処理業・処理施設許可取消処分情報」という資料がある。これは、都道府県市別に産業廃棄物処理業と処理施設の許可の取消しを受けた事業者の一覧表だ。

 その処分件数は11年5月から16年5月までの約5年間で1833件にもなる。ただ、うち産業廃棄物処理業許可取消処分件数が何件かは不明だ。最も気になる、その処分理由も記載されていない。そこで、東京都について調べたら、「産業廃棄物処理業者に対する行政処分について」というデータが見つかった。その16年度分では、4件のうち「廃棄物処理法違反により罰金刑確定」2件や「他県での同法違反」1件だが、残り1件は「同社の役員は、懲役刑が確定」とある。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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