それでも廃棄食品横流しは蔓延している…「ブラックホール化」する食品廃棄の闇
問題は次の「欠格要件」【編注5】だ。「欠格要件」とは、耳慣れない言葉だが、これは法に従った適正な業務の遂行を期待できない者をパターン化して排除するために、許可申請者の一般的な適性について必要な条件を定めたものなのだという。「欠格要件」に当たる場合、たとえ先の2つの基準を満たしていても、許可してはならないことになっている。具体的には、まず成年被後見人(精神障害で判断能力を欠き、家庭裁判所から指導・監督の後見開始の審判を受けた人)などや、破産者だ。
さらに、以下のような禁錮以上の受刑者と、暴力団員等である。
(1)刑法第204条(人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金)などや、「暴力行為等処罰ニ関スル法律」、例えば常習として刑法第222条「生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金」などの罪を犯し、罰金の刑に処せられてから5年をすぎていない者など。
(2)暴力団員【編注6】、または暴力団員でなくなった日から5年をすぎていない者(暴力団員等)。
(3)暴力団員等によってその事業活動を支配される法人や個人。
欠格要件は1997年以来、2000年、05年などの廃棄物処理法改正で強化されてきた。
クリーンな産業廃棄物処理業界構築を
2009年3月、環境省は「暴力団の不当要求等介入事例実態調査事業報告書」を発表した。これは06年7月、政府の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」【編注7】がまとめられ、犯罪対策閣僚会議で報告・了承された。これを機に、環境省も産業廃棄物処理業界への介入排除に努め、最終的には「クリーンな産業廃棄物処理業界の構築」を目的に、この実態調査が行われた。
同報告書(有効回答業者数1850)によれば、全体の15%が暴力団などから不当要求を受けたと答え、不当要求者の身分は暴力団や暴力団関係者よりも、「エセ同和行為者」や「エセ右翼」が多いという。
また、不当要求の内容としては「廃棄物処理施設の騒音、振動、悪臭などを名目にした要求」「処理費の減額・不払い要求」などのほか、「機関誌や書籍の購入要求」が最も多い。
“有価物への偽装”も
さらに廃棄物の不適正処理をしている業者の存在について、「聞いたことがある」が27.5%で、その不適正処理の内容として、不法投棄・焼却や無許可営業・変更許可違反などのほか、ココイチ事件のように、例えば無価値の廃棄カツを価値のある商品に見せかけるココイチ事件のような“有価物への偽装”も10.1%あった。この手の偽装も、今に始まったことではない。